テレフォン人生相談 2025年11月24日 月曜日
パーソナリティ: 加藤諦三
回答者: マドモアゼル愛(心についてのエッセイスト)

こんにちは、悟(さとる)です。
本日はテレフォン人生相談から、発達障害とギャンブル依存を抱える24歳の長男に、母親がどう関わればいいのか迷い続けた相談です。
子どもを守りたい気持ちと、自分の生活を守らなければならない現実。
その間で揺れた末に出てきた言葉が「断絶」でした。
冷たい言葉に聞こえるかもしれませんが、今日のやり取りには、追い詰められた家族が崩れないための線引きが含まれていました。
■離婚から22年、母子三人の暮らし
相談者は47歳。
22年前に離婚し、長男と次男を抱えて生活を立て直してきました。
今は長男24歳、次男22歳の三人暮らしです。
長男は発達障害があり、人間関係がうまく築けず、いじめに遭った時期もあったと言います。
読み書きなどの学習面にも困りごとがあり、働くこと自体が簡単ではありませんでした。
それでも、家族で弟の会社の近くに引っ越し、弟の会社で働かせてもらえるようになったことで、まとまった収入が入るようになります。
ここから「お金の管理」という、家族の中の最も繊細な問題が始まっていきます。
■お金を渡すほど崩れていく日常
相談者は病院と相談しながら、定期代やタバコ代、通院費など必要なものを渡し、残りを管理してきました。
最初は一日千円の小遣いでも回っていたのに、やがて「管理されたくない」という反発が強くなります。
まとまった金額を渡すと、その日のうちに使い切ってしまう。
服や携帯まで売って現金化し、定期代のように触れてはいけないお金にも手を出してしまう。
気づけば借金は50万円に膨らみ、しかも短期間で消えていく感覚があると言います。
お金が尽きると暴れるようになり、二年前には殴られたこともある。
今は物に当たる形になったとはいえ、電気やベッドを壊し、近所への迷惑も心配で、休日が近づくほど相談者の恐怖が増していきました。
■一人暮らしは解決か、それとも破綻の入口か
相談者が考えたのは「一人暮らしをさせる」ことでした。
距離を取れれば自分が壊れずに済むかもしれない。
しかし一方で、家賃を使い込んで追い出される未来が目に浮かびます。
さらに悩ましかったのが障害年金です。
本人には知らせず、相談者が貯めている。
知らせれば全部使ってしまうと感じるからです。
けれど借金返済が苦しくなり、年金を借金に当てるべきか、あるいは肩代わりしていいのか、迷いが深くなっていました。
ここで加藤諦三さんは、肩代わりは絶対にしてはいけないと強く止めました。
金銭的な穴埋めは、状況を落ち着かせるどころか、依存の構造を延命させやすいからです。
■マドモアゼル愛先生が見た「安心感の欠如」
マドモアゼル愛先生は、離婚当時を丁寧にたどります。
乳幼児の長男を抱えて家を出たこと、母親の苦労、そして長男が抱えた寂しさ。
相談者は、長男には友達が少なく、いじめもひどかったと振り返りました。
先生が焦点を当てたのは、「安心感がないまま育った」ことが、今の刹那的な生き方につながっている可能性です。
先のことを考えず、その日スロットが打てればいい。
寒くてもダウンを売り、泣いている母を見ても動かない。
本人の中に、感情に訴える回路が働きにくいという医師の言葉も紹介されます。
一方で先生は、弟の会社の社長が厳しく関わっている点を重要視しました。
母親の前では荒れてしまう長男が、社長の前では別人のように振る舞う。
つまり社会との接点を保てているのは、その厳しさが「最後の防波堤」になっているからだ、という見立てです。
だからこそ先生は、仕事を辞めさせる方向へ動くと良くならない、と釘を刺します。
居場所を失えば、依存と荒れ方はさらに強まる危険があるからです。
■加藤諦三さんが示した「希望を断つ」という線引き
相談の終盤、加藤諦三さんは改めて、ギャンブル依存になったとき「こうすれば治る」という家庭内の方法はないと語ります。
相談者がまだどこかに持っている希望、つまり「自分が何とかできる」という期待が、結果として家族全員をズルズルと悲劇に引きずり込むと警告しました。
そして出てきた結論が断絶です。
息子への思いを断ち切ることはつらい、それでも、そこにしか出口がないと。
絶望からの唯一の出口が断絶だという言葉を重ね、相談者に踏ん張ってほしいと締めくくりました。
断絶とは、相手を罰することではなく、自分の人生を守るための境界線を引くこと。

そう受け取ると、この厳しい言葉が少し違って聞こえてきます。
■「肩代わりしない」が意味するもの
相談者は「肩代わりしてはいけないと思っている」と口にしていました。
けれど目の前で暴れられ、近所迷惑を想像し、明日を迎えることすら怖いとなれば、「お金で静かになるなら」と考えてしまうのも無理はありません。
それでも加藤諦三さんが即座に止めたのは、借金の返済が問題の核心ではないからです。
返せば一旦は落ち着くように見えても、依存の行動が変わらなければ、次の借金はまた生まれます。
そして「困ったら親が埋める」という学習が積み重なると、本人の責任感だけでなく、周囲の支援の線引きも曖昧になっていきます。
さらに、相談者の不安は「借金をどうするか」よりも「家の中がいつ壊れるか」でした。
財布を渡すか渡さないかが、家庭の安全を揺らす引き金になっている。
この状態でお金を動かし続けると、相談者自身が依存の渦の中心に立たされてしまいます。
だからこそ、まず金銭で事態を操作しようとする発想を手放すことが、最初の一歩になるのだと思います。
■「断絶」は放棄ではなく、配置換え
断絶と聞くと、縁を切り、すべてを捨てるように感じます。
けれど今日の流れを丁寧に追うと、言われているのは「関係をゼロにする」より、「関係の置き場所を変える」ことに近いように思えます。
母親が息子の財布であり、緩衝材であり、恐怖の受け皿でもある状態が続くと、家庭は必ず疲弊します。
そこで必要なのは、母親が引き受けてきた役割を降りることです。
お金の管理を巡る駆け引き、暴れた後の片づけ、近所への気遣い、そして「次は何が起きるか」という予期不安。
そうした負担を背負い続ければ、相談者の心身が先に折れてしまいます。
マドモアゼル愛先生が社長の存在を「最後の防波堤」と呼んだのは、本人が社会とつながる回路がすでに細くなっているからでしょう。
母親だけが抱え込むのではなく、働く場の厳しさや医療的な関わり、制度的な支えといった、家の外の枠組みに重心を移していく。
その移行のために、母親が「自分が何とかする」という希望を断ち切る必要がある、というのが加藤諦三さんの論点でした。
断絶は冷酷さの宣言ではなく、「家族が共倒れしないための責任の分け方」と考えると、少し現実味が増します。
■次男の生活を守るという、もう一つのテーマ
この相談には、もう一人の家族がいます。
22歳の次男です。放送の中で次男の詳細は語られませんが、同じ家の中で起きている暴力や破壊や緊張を、次男もまた浴び続けているはずです。
家族の問題は、ときに「当事者」だけに意識が集まり、周囲の人の消耗が見えにくくなります。
けれど暮らしは同じ空間で続いていきます。
相談者が休日を怖がるほど追い詰められているのなら、次男もまた、安心して眠れる場を必要としているでしょう。
断絶という言葉の背後には、長男のためだけでなく、相談者と次男の生活を守る視点が含まれていたように思います。
誰か一人を救うために、他の二人が壊れてしまっては、家族全体としての未来が閉じてしまうからです。
■まとめ:家族の愛情と安全の境界をどこに置くか
今回の相談は、発達障害とギャンブル依存が重なったとき、家族の献身だけでは支えきれなくなる現実を突きつけました。
お金を管理し、生活を整え、本人を守ろうとするほど、暴力や浪費が強まり、相談者の心身が削られていく。
そこまで来ると、「支える」ことと「巻き込まれる」ことの違いが曖昧になります。
マドモアゼル愛先生は、安心感の欠如という背景を見つめつつ、社会との接点を保つための厳しさを評価しました。
加藤諦三さんは、家族が背負い続けることで生まれる悲劇を止めるため、希望を断ち切るという線引きを示しました。
私自身、断絶という言葉の強さに戸惑いは残ります。
それでも、守るべきものが「本人だけ」になった瞬間、家庭は静かに壊れていきます。
家族の中には、次男の生活もあり、相談者自身の人生もあります。
愛情を持ったまま距離を取ること、関わりの形を変えることは、冷たさではなく現実的な配慮なのだと思います。
もし同じように、家族の問題が生活を侵食し始めているなら、「できること」と「背負わないこと」を分けて考えるところから、少しずつ道が見えてくるのかもしれません。
放送はこちらから視聴できます
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
人は誰かの悩みや言葉に触れたとき、ふと自分の心が揺れていることに気づくことがあります。
その小さな揺れは、これからの自分を整える大切な“サイン”なのかもしれません。
もし今、胸の奥にそっと抱えている思いがあり、「どこかに話してみようかな」と感じている方がいらっしゃれば、いくつかの相談先をここに置いておきます。
どれが正しいということはありません。
今のあなたに合う形を、静かに選んでいただければ十分です。
◆ テレフォン人生相談に相談してみたい方へ
寄り添って話を聴いてもらいたいとき、人生経験の深い回答者の言葉に触れたいとき──
テレフォン人生相談は、長い歴史の中で多くの方の迷いを受け止めてきた相談先です。
番組という特性上、相談内容が“広く届けられる形”になることもありますが、その分だけ、そこで得られる言葉には力があります。
◆ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ
テレフォン人生相談のように、限られた時間の中で専門家の言葉を受け取る形が合う方もいれば、
「相談したこと自体が、どこかに伝わってしまうかもしれない」
その不安が先に立って、踏み出せない方もいらっしゃるかもしれません。
このブログでは、そうした気持ちを抱えたままでも選べる、誰にも知られず、心の内をそっと預けられる相談先もまとめています。
無理に利用する必要はありません。
ただ、自分に合う距離感の相談先が他にもあるということを、必要になったときに思い出していただければ十分です。
▶︎ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ
◆ 言葉にしきれない思いを、静かに整理したいときに
誰かに直接相談するほどではないけれど、頭の中や胸の奥に、まだ整理しきれていない思いが残っている──そんなときもあるかもしれません。
「何が不安なのか」「どこで引っかかっているのか」それをはっきりさせるだけで、気持ちが少し落ち着くこともあります。
最近は、名前を明かさず、顔も出さず、今の状況や気持ちを言葉にするだけで、第三者の視点を受け取れるサービスもあります。
答えを決めてもらうためではなく、自分の気持ちを整理する“きっかけ”として、こうした選択肢があることも、そっと置いておきます。
どの道を選んだとしても、それは “自分を大切にした証” だと思います。
またゆっくりとお会いできますように。
──悟(さとる)


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