DV夫が昏睡?今井通子と大迫恵美子が教える離婚と自立の処方箋

窓の外を静かに眺める46歳の女性のイラスト。落ち着いたベージュと薄グレーを基調としたセミリアルなタッチで、迷いの中に一筋の光を見出し、考えを整理しているようなニュートラルな表情を表現。右側に大きな余白を持たせた構図。

2025年12月13日 土曜日
パーソナリティ: 今井通子
回答者: 大迫恵美子(弁護士)


こんにちは、悟(さとる)です。

本日はテレフォン人生相談から、婚活パーティーで出会い長年DVに苦しんできた女性が、意識不明となった夫との離婚を望む相談です。

長年の恐怖から解放されたいと願う切実な思いと、皮肉にも相手が倒れたことで直面する法律の壁。

人生の再出発を目前にして立ち止まってしまった彼女に、専門家はどのような道筋を示すのでしょうか。

■お見合いパーティーでの出会いと地獄の始まり

相談者は46歳の女性です。

今から12年前、彼女はお見合いパーティーという出会いの場で、16歳年上の男性と出会いました。

当時の彼女は別の方との交際がうまくいかず、精神的に不安定な時期を過ごしており、包容力があるように見えた今の夫と意気投合し、トントン拍子に結婚を決めてしまったのです。

しかし、幸せな新婚生活を夢見ていた彼女を待っていたのは、想像を絶する暴力と支配の日々でした。

結婚当初から夫によるDVとモラハラが始まり、彼女の心は次第に削られていきました。

何度も警察へ通報し、110番をしては市役所に駆け込み、一時保護を経験するという壮絶な日常を繰り返してきました。

それでも12年という長い歳月を耐え忍んでしまった背景には、彼女自身の経済力のなさが大きく影響しています。

自分の力だけで生きていく術を持たず、恐怖に怯えながらも実家と家を往復する不規則な生活の中で、ただ時間だけが過ぎ去っていきました。

ようやく2年前、彼女は意を決して夫との完全な別居に踏み切りました。

身体的な暴力からは距離を置くことができましたが、心の中にある夫への恐怖心は消えず、戸籍上の夫婦という繋がりが彼女を縛り続けていたのです。

自由になりたいという願いを持ちつつも、具体的な離婚の手続きを進める勇気が持てないまま、今日まで至りました。

■夫の急病と意識不明がもたらした新たな混乱

別居生活を続けていた彼女のもとに、突然の報せが届きました。

約2週間前、夫が脳の疾患で倒れ、病院に搬送されたのです。

現在は集中治療を受けているものの、意思疎通が全く図れない昏睡状態にあり、回復の見込みも不透明な状況です。

この事態を知った彼女の心に去来したのは、純粋な悲しみではなく、今のうちにこの縁を断ち切りたいという強い焦燥感でした。

もし夫の意識が戻れば、再び以前のような執拗なモラハラや暴力が始まるのではないか。

その恐怖から逃れるために、相手が反応できない今のうちに離婚を成立させることはできないのか。

そんな切実な問いを抱えて、彼女は番組に電話をかけました。

しかし、法的な知識も行動力も乏しい彼女にとって、意思を示せない相手とどのように別れればよいのか、その正解は見えていません。

彼女の話し方からは、長年の支配によって自分の意思を封じ込められてきた人の特徴が見て取れます。

現状を正確に把握できておらず、医師からの病名すら曖昧なまま、ただ目の前の不安に翻弄されている様子が伝わってきます。

自立への第一歩を踏み出したいと願いながらも、具体的な方法論が分からず、立ち尽くしている状態なのです。

■法律が立ちはだかる意識不明の壁

明るい白壁の部屋に置かれた、ノートとペン、一輪挿しの花瓶があるミニマルな風景。窓から差し込む柔らかな光がデスクに落ち、静寂と落ち着いた思考の時間を連想させる、白とベージュを基調とした淡いトーンのイラスト。

相談者の訴えを静かに受け止めた今井通子さんは、弁護士の大迫恵美子先生に法的な見解を求めました。

大迫先生は、感情を抑え、法律の専門家として極めて冷静に現状を分析していきます。

まず結論として伝えられたのは、意思疎通ができない相手との離婚は、法的に非常に高いハードルがあるという厳しい事実でした。

離婚の手続きは、本来であれば夫婦双方の合意、あるいは裁判によって決着をつけるものです。

しかし、相手が昏睡状態であれば話し合いをすること自体が不可能です。

裁判を起こすにしても、訴えられる側の夫に自分を守る能力がないため、手続きを進めるためには夫のために成年後見人を選任しなければなりません。

しかし、後見人はあくまで本人の利益を守るための存在であり、本人の不利益になりかねない離婚を認めることは、制度上非常に難しい判断となります。

相手の意思確認ができない状況での離婚成立は法制度の観点から極めて困難なのが実情です。

大迫先生の説明は、彼女の甘い期待を打ち砕くものでしたが、それは彼女を突き放すためではありませんでした。

むしろ、現在の不安定な立ち位置から彼女を救い出すために、あえて現実的な選択肢を提示したのです。

感情的に離婚を急ぐことが、必ずしも彼女の今後の人生にとってプラスになるとは限らないという視点を与えました。

■妻という立場を逆手に取った生存戦略

大迫先生は、今の彼女にとって最も賢明な道は、あえて離婚を急がないことではないかと説きます。

これは、彼女がこれまでDVに耐えてきたことへの正当な報酬を、法律の枠組みの中で確実に受け取るための戦略です。

婚姻関係を維持したまま夫が亡くなった場合、彼女は配偶者として法定相続人の権利を得ることができ、遺族年金の受給も可能になります。

これまで夫の暴力によって人生を奪われてきた彼女にとって、これらを受け取ることは決して後ろめたいことではありません。

むしろ、これから一人で生きていくための重要な生活基盤となるのです。

今無理に離婚を成立させて無一文になるよりも、妻としての権利を最後まで行使し、将来の不安を少しでも軽減することの方が、彼女の自立には欠かせない要素です。

婚姻関係を継続しつつ将来の経済的な権利を確保することが現実的な自立への近道となります。

先生は彼女に、まずは冷静になって夫の財産状況を把握することを強く促しました。

これまで夫に任せきりだったお金の流れや、夫が所有している不動産、保険などの情報を今のうちに整理しておく必要があります。

夫が動けない今こそ、彼女がこの家の主導権を握り、自分の将来を自分で設計する準備期間とすべきなのです。

■恐怖心を自立へのエネルギーに変える

今井通子さんも、最後に彼女へ厳しい言葉を贈りました。

彼女が夫の病状について詳細を知らないことや、手続きに対して消極的な姿勢を見せていることを指摘し、それではいつまでも自立はできないと説きました。

これまでは夫という存在が自分の不幸の理由でしたが、今は自分自身の行動力が、自分の未来を左右する鍵となっているのです。

夫が倒れたという事実は、彼女にとって神様が与えてくれた再出発のチャンスかもしれません。

恐怖の対象だった夫が動けない間に、どれだけ自分の足場を固めることができるか。

誰かに守ってもらうのではなく、自分の人生を自分の手で守るという意識改革が求められています。

泣いて助けを待つだけの時間は終わり、現実的な手続きや情報収集に奔走しなければならない時が来ているのです。

大迫先生と今井さんの助言は、優しさと厳しさが混ざり合ったものでした。

それは、彼女を一人の自立した女性として尊重しているからこその言葉です。

DVという暗闇の中にいた彼女が、光の方へと歩き出すためには、自分の足で一歩ずつ進んでいくしかないのです。

その道は決して平坦ではありませんが、正しく法律や制度を味方につけることで、必ず出口は見えてくるはずです。

■まとめ

今回の相談を通じて浮き彫りになったのは、夫婦という極めて密接な人間関係において、一方が他方を支配する構造がもたらす悲劇とその脱却の難しさです。

特に、経済的な基盤を相手に握られている場合、心身に苦痛を感じていても、その場から逃げ出すことができないという現実があります。

これは、現代社会の家族関係が抱える深刻な課題の一つといえるでしょう。

しかし、状況が変わり、支配者がその力を失った時、残された側に求められるのは、被害者という意識から脱し、主体的に自分の人生を構築する姿勢です。

離婚という形式にこだわるよりも、まずは自分が平穏に生きていくための実利を優先するという考え方は、非情に聞こえるかもしれませんが、サバイバルという観点からは非常に重要な知恵です。

夫婦とは、本来対等なパートナーであるべきですが、そのバランスが崩れた時、私たちは自分自身の尊厳を守るために何をすべきか。

今回の相談は、自立とは単に相手と縁を切ることではなく、自分の人生に責任を持ち、現実的な手段を講じていくことだという普遍的なテーマを私たちに教えてくれました。

長い間、恐怖に縛られてきた心が、急に自由を前にして戸惑うのは無理もないことかもしれません。

でも、大迫先生が示されたように、今は感情を少し脇に置いて、自分の未来を賢く守るための行動を起こすべき時なのでしょう。

誰かに決めてもらうのではなく、自分の人生の主権を取り戻そうとする彼女の背中を、静かに見守りたいと思いました。

自らの手で現実を把握し生活を守る決断こそが依存から抜け出す真の転換点となるはずです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

人は誰かの悩みや言葉に触れたとき、ふと自分の心が揺れていることに気づくことがあります。

その小さな揺れは、これからの自分を整える大切な“サイン”なのかもしれません。

もし今、胸の奥にそっと抱えている思いがあり、「どこかに話してみようかな」と感じている方がいらっしゃれば、いくつかの相談先をここに置いておきます。

どれが正しいということはありません。

今のあなたに合う形を、静かに選んでいただければ十分です。

◆ テレフォン人生相談に相談してみたい方へ

寄り添って話を聴いてもらいたいとき、人生経験の深い回答者の言葉に触れたいとき──

テレフォン人生相談は、長い歴史の中で多くの方の迷いを受け止めてきた相談先です。

番組という特性上、相談内容が“広く届けられる形”になることもありますが、その分だけ、そこで得られる言葉には力があります。

▶︎ テレフォン人生相談・相談受付ページ(公式)

◆ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ

テレフォン人生相談のように、限られた時間の中で専門家の言葉を受け取る形が合う方もいれば、

「相談したこと自体が、どこかに伝わってしまうかもしれない」

その不安が先に立って、踏み出せない方もいらっしゃるかもしれません。

このブログでは、そうした気持ちを抱えたままでも選べる、誰にも知られず、心の内をそっと預けられる相談先もまとめています。

無理に利用する必要はありません。


ただ、自分に合う距離感の相談先が他にもあるということを、必要になったときに思い出していただければ十分です。

▶︎ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ

◆ 言葉にしきれない思いを、静かに整理したいときに

誰かに直接相談するほどではないけれど、頭の中や胸の奥に、まだ整理しきれていない思いが残っている──そんなときもあるかもしれません。

「何が不安なのか」「どこで引っかかっているのか」それをはっきりさせるだけで、気持ちが少し落ち着くこともあります。

最近は、名前を明かさず、顔も出さず、今の状況や気持ちを言葉にするだけで、第三者の視点を受け取れるサービスもあります。

答えを決めてもらうためではなく、自分の気持ちを整理する“きっかけ”として、こうした選択肢があることも、そっと置いておきます。

▶︎ 今の気持ちを、静かに整理してみたい方へ


どの道を選んだとしても、それは “自分を大切にした証” だと思います。

またゆっくりとお会いできますように。

──悟(さとる)

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