離婚した元妻との“線引き”に悩む男性ー再婚を前に問われた「優しさ」と「けじめ」の境界線

テレフォン人生相談

2025年10月30日(木)
パーソナリティ:柴田理恵
回答者:大迫恵美子(弁護士)


こんにちは、悟(さとる)です。


人と人との関係は、ひとたび深く結ばれたあと、その距離をどう保つかがとても難しいですよね。

特に「離婚」や「再婚」という節目を迎えたとき、過去のつながりをどのように整理するか――それは多くの方が心を痛めるテーマです

今回のご相談は、離婚した元妻との関係をどう保つべきか悩む40歳の男性から。


彼は再婚を目前にしながらも、元妻との距離の取り方に迷っています。


「優しさ」と「けじめ」の境界線をどう引けばいいのか。


柴田理恵さんと大迫恵美子弁護士のアドバイスから、その答えを丁寧にたどっていきましょう。


離婚後も続く“元妻との関係”に揺れる心

相談者は40歳の自営業男性。

芸術関係の仕事をしており、収入は安定していません


1年前に離婚した元妻とは、13歳の娘さんと11歳の息子さんの2人の子どもがいます。

離婚の原因は、元妻のほうから切り出された「もう一緒にいられない」という言葉でした。


男性自身も夫婦間の距離を感じており、自然と別れを受け入れた形になったそうです。

ただ、別れたあとも“完全な終わり”とはいかず、家の修理を頼まれたり、相談を受けたりするうちに、つい手を貸してしまうことがありました。


「困っているなら助けてあげたい」という気持ちがある一方で、最近は新しい交際相手から「もう少し距離を取ってほしい」と言われ、戸惑いを感じています。


新しい恋と、過去の情のはざまで

男性には現在37歳の恋人がいて、再婚も考えているとのこと。


そのため、子どもたちにも「新しいお母さんになる人がいる」と伝えたいと考えました

元妻にも事前にその話をしたところ、最初は「いいんじゃない?」とあっさりした返事。


ところが数日後、「やっぱり辛い」「ショックだった」と涙ながらに電話があったそうです。

彼女の心の動きに触れた男性は、「やっぱり自分の言い方が悪かったのか」「元妻の気持ちを踏みにじってしまったのか」と自責の念を抱きます。

離婚から1年経ってもなお、互いの感情の整理がつかない。


その優しさと罪悪感が、彼を次の一歩へ進ませない原因になっていました。


「変えられない生き方」がすれ違いを生む

柴田理恵さんが尋ねます。


「奥さんが離れたいと言った理由、思い当たることはありますか?」

男性は少し間をおいて、「自分の生き方を変えられなかったことだと思います」と答えました


芸術関係の仕事は夢がある一方で、収入が安定しづらく、家庭を支えるには不安定さが伴います。


彼は「それでも自分の生き方は曲げたくなかった」と語りました。

元妻は、生活の不安と孤独の中で心をすり減らしていき、ついにはうつ病を発症。


「死にたい」とまで言っていた時期があったそうです。


そのとき、男性はうまく支えられず、「もっと早く気づいてあげればよかった」と悔やんでいます。

離婚という結果は、二人の性格や価値観の違いが積み重なったものでした。


大迫弁護士はこう指摘します。

「あなたが悪いというよりも、“生き方の方向”が違っていたのです。
 でも、別々の道を選んだ今、もう一度“自分が誰を幸せにしたいのか”をはっきりさせる必要があります。」


優しさが“曖昧な関係”をつくる

相談者は、元妻が頼めば家の修理や用事を手伝うことが多いと話します。


それを「人として当然」と感じていたのですが、大迫弁護士は少し厳しい口調で言いました。

優しさは大切ですが、離婚した後にそれを続けてしまうと、“関係が終わっていない”ように見えてしまいます。元妻さんにとっても、あなたが“まだ頼れる存在”でいる限り、気持ちの整理がつかないのです。

さらに大迫弁護士は、再婚を考えているなら「元妻と彼女、どちらの安心を優先するのか」を考えるべきだと伝えます。

「再婚相手の女性にとって、あなたが元妻と頻繁に連絡を取るのはとても不安です。
 “前の家庭”と“これからの家庭”は、線を引かなければなりません。」

離婚後も続く関わりが、優しさではなく「未練」や「依存」に見えてしまうこともある。


その現実を、男性は静かに受け止めていました。


“元家族”から“子どもの親”へと意識を変える

大迫弁護士は、次のようにまとめます。

「元妻との関係を“夫婦”の延長で考えるのではなく、“子どもの親”として捉えるようにしましょう。
 たとえば、子どもに関わることだけはきちんと対応する。でも、元妻の生活や感情面に踏み込みすぎない。それが新しい家庭を守る第一歩です。」

親としての責任と、夫としての役割は別物


「親子の絆」は続いても、「夫婦の関係」は終わっている――その線引きを明確にすることが、双方の幸せにつながります。


「優しさ」と「けじめ」は共存できる

相談者にとって、元妻に冷たくすることは難しいことでした。


しかし、冷たくするのではなく、「立場をわきまえた優しさ」を持つことが大切なのです。

それは、元妻を突き放すためではなく、彼女が自立するための“見守りの優しさ”。


そして、自分の新しい人生を守るための“けじめ”でもあります。

大迫弁護士の言葉が、静かに心に残ります。

「人は誰かを思いやることと、依存させることを混同しがちです。本当に相手の幸せを願うなら、時には“距離を取る勇気”も必要ですよ。」


まとめ

今回の相談を通して感じるのは、「やさしさ」が時に人を縛ってしまうということです。


相手を思う気持ちは尊いものですが、どこまで関わるか、どこで手を放すか――その見極めは簡単ではありません

けれど、関係に“終わり”を告げることは、決して冷たさではなく、互いの人生を前に進めるための区切りでもあります。

再婚を前に、元妻との関係を整理しようとする相談者の姿は、まさに「人生をやり直す勇気」を象徴していました。


人は誰しも、過去を抱えながら生きています。


だからこそ、“過去を否定する”のではなく、“過去に区切りをつける”ことが、次の一歩を踏み出す力になるのだと思います。


放送はこちらから視聴できます

今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

人生に正解はありませんが、誰かの悩みを知ることで、自分の心が少し楽になったり、新しい考え方に気づけることもあります

このブログが、読んでくださった方の「明日を生きるヒント」になれば嬉しいです。

またぜひ遊びに来てくださいね。

以上、悟(さとる)でした。

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