2025年10月29日(水)
パーソナリティー:玉置妙憂
回答者:森田豊(医師・医療ジャーナリスト)

こんにちは、悟(さとる)です。
誰かの悩みを聞くことで、「あ、わたしも同じ気持ちかもしれない」と感じること、ありますよね。
今回の相談者は29歳の女性。仕事を休職し、「生まれてこなければよかった」とまで感じてしまうほど、心が疲れ切ってしまった方です。
社会の中で「役に立つ人」「貢献できる人」として生きることが価値だと思っていた彼女。
けれど、思いどおりにいかない現実の中で、自分を責め続けてきました。
そんな彼女に、森田先生が伝えたのは、「生きることそのものに意味がある」というメッセージでした。
それでは、一緒に見ていきましょう。
自分を否定し続けてしまう29歳女性の苦しみ
今回の相談者は29歳の独身女性。両親と暮らし、弟は別に住んでいます。
1年3か月前に事務職として就職したものの、9か月後に適応障害と診断され、現在は休職中とのこと。
幼いころからピアノや英語を学び、「将来はピアニストや英語教師になって社会に貢献したい」と夢を描いてきたそうです。

けれど、現実は理想とはかけ離れていました。
仕事ではミスが続き、同僚から「この人に任せたくない」と陰口を言われ、自信を失ってしまったのです。
「社会に貢献できる人こそ生きる価値がある。わたしのように何もできない人間は、いない方がいいのかもしれない」――
そんな思いが心を占めるようになり、気力が湧かず、何をしても自分に納得ができない。
まるで「生きている意味がない」と感じてしまうほど、深い自己否定の中にいました。
森田先生の助言:価値観の「軸」を変えてみよう
森田先生は、まず彼女が抱える“生きる価値”の定義に注目しました。
彼女は「社会の役に立つ」「何かを成し遂げる」ことを価値の基準にしており、それができていない自分を「無価値」と感じているのです。
しかし、先生は穏やかに語ります。
「生きる価値というのは、社会的な評価や成果によって測るものではありません。生きているだけで、もう十分に意味があるんですよ。」

私たちは、いつの間にか「頑張る」「役立つ」ことが当然だと思い込み、できない自分を責めてしまいがちです。
けれど、人生には“立ち止まる時間”が必要なときもあります。
先生は続けて、「まず体を動かしてみることから始めましょう」と提案しました。
外に出て、風を感じる。歩いてみる。日差しを浴びる。
そんな小さな行動の積み重ねが、心の曇りを少しずつ晴らしてくれるのです。
「今、できること」を探すことが回復への第一歩
適応障害は、心と体が疲れ切っているサインです。
森田先生は、今は無理をせず「自分をケアすること」を最優先にすべきだと伝えました。
「社会に戻らなければ」「早く結果を出さなければ」と焦る気持ちは自然なことです。
けれど、焦りが強くなるほど、心はさらに疲弊してしまいます。

森田先生はこう言います。
「今できることを、少しずつやっていけばいいんです。人生の意味は、後から見えてくるものですよ。」
相談者にはピアノや英語という得意分野があります。
それを大きな夢や目標に結びつける必要はありません。
たとえば、地域の子どもに教える、小さなボランティアをする――そうした日常の中の「誰かとの関わり」にも、十分な価値があるのです。
森田先生の言葉は、社会的評価に縛られていた相談者にとって、「生きる意味を再構築する」ヒントとなりました。
「社会に貢献しなければ」という思い込みを手放す
相談者のように、「社会の役に立たなければ」「成果を出さなければ」と自分を縛ってしまう人は少なくありません。
けれど、森田先生はこう諭します。
「人はみんな、誰かに必要とされています。誰かに迷惑をかけながら、支え合いながら生きていくものです。完璧じゃなくていいんです。」
“完璧にできない自分”を責め続けると、やがて心は折れてしまいます。

でも、“今できること”を少しでも肯定できたなら、それが回復のはじまりです。
先生は「自分の存在そのものを許してあげることが、前を向くための第一歩」だと伝えました。
まとめ
社会の中での自分の価値を見失ってしまうことは、誰にでもあることです。
とくに真面目な人ほど、「もっと頑張らなきゃ」「ちゃんとしなきゃ」と自分を追い込みがち。けれど、人生は「頑張り」だけで作られているわけではありません。
立ち止まってもいい。休んでもいい。
「生きているだけで意味がある」という言葉を、どうか心の片隅に置いてください。

焦らず、少しずつ、自分のリズムを取り戻していけば大丈夫。
きっと、あなたの中に眠っている優しさや力が、また誰かを照らす日が来ます。
放送はこちらから視聴できます
今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
人生に正解はありませんが、誰かの悩みを知ることで、自分の心が少し楽になったり、新しい考え方に気づけることもあります。
このブログが、読んでくださった方の「明日を生きるヒント」になれば嬉しいです。
またぜひ遊びに来てくださいね。
以上、悟(さとる)でした。


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