仕事を愛した女性の心が壊れた日——適応障害と向き合う勇気

テレフォン人生相談

2025年10月31日(金)放送
パーソナリティー:田中ウルヴェ京
回答者:三石由起子(作家・翻訳家)


こんにちは、悟(さとる)です。

仕事って、生きがいにもなれば、心をすり減らすものにもなりますよね。


今日のご相談は、長年勤めた職場での「パワハラ」に心を壊され、適応障害と診断された女性のお話です。


真面目に一生懸命働いてきたからこそ、「なぜ自分がこんな目に」と自分を責めてしまう——そんな気持ち、きっと誰しもが理解できるのではないでしょうか。

三石由起子さんは、そんな相談者に「家族がいるということの力」を優しく伝えながら、「無理をせず、今の自分を大切に生きる」ことの意味を語りました。


では、どんなお話だったのでしょうか。


相談内容の概要

相談者は50歳の女性。夫(52歳)と独立した息子(26歳)の3人家族です。


1年半ほど前から職場で上司による理不尽な対応を受けるようになり、心身ともに追い詰められていきました。

夜中に目が覚めて涙が出る。出勤途中で涙が止まらなくなる。


「もう限界だ」と感じて退職を決意したのは、わずか半月前のことでした。

医師からは「適応障害」と診断されましたが、薬の服用はしていません。


職場に相談窓口はあったものの、勇気が出ずに利用できず、会社から正式に「パワハラ」と認められることもありませんでした。

それでも、相談者にとってその仕事は「好き」なものでした


辞めた今も、「自分が弱かったのではないか」「また働けるのだろうか」と心が落ち着かず、涙がこぼれてしまう日々を送っています。


三石由起子さんの助言

家族がいること、それ自体が“資源”

三石さんはまず、相談者の「現実」に優しく目を向けました。


「ご主人もいて、息子さんも独立されている。あなたには、ちゃんと支えがあるじゃないですか」

この言葉に込められたのは、「人は誰しも一人ではない」というメッセージ。


たとえ職場を失っても、自分を受け止めてくれる場所がある。


それを再確認することが、再び歩き出す力になると伝えました

相談者は「職場に行けなくなった自分」を責めていましたが、三石さんは「それでも、あなたはちゃんと生きてきた。


泣くのも、悔しいのも、ちゃんと生きてきた証拠」と受け止めました。


「被パワハラ体質」ではなく、「繊細さの証」

相談者は自分を「被パワハラ体質ではないか」と語りました。


三石さんはこの表現を否定せず、「それは“感じ取る力”があるということ。人の感情や空気を敏感に読み取る人は、その分、優しさや思いやりにも長けている」と伝えました。

つまり、弱点ではなく“感受性の高さ”として捉える視点を持つこと。


それは、社会の中で生きづらさを感じる一方で、誰かを支える仕事や、人に寄り添う分野では強みとして輝くこともあります。

「繊細さ」は欠点ではなく、他人の痛みに気づける大切な資質なのです。


「働かなくてもいい」——休むことを“選ぶ”勇気

「仕事が好きだった」という相談者の気持ちに、三石さんは深く共感しました。


けれども、その“好き”が心身を壊すほどの頑張りに変わっていたのなら、今は「無理をしない時期」にすることが必要だと語ります。

「仕事を続けられない自分」を責めるのではなく、「今は心を守るために休む」と自分に許可を出すこと。

三石さんは穏やかにこう続けました。


「もしご家族が支えてくれるなら、しばらく働かなくてもいいじゃない。それが今のあなたに必要な時間なのだから」

働くことは、生きる手段のひとつにすぎません。


“働かなくてもいい自分”を一度受け入れることで、本当の意味で「また働きたい」と思える日が来るのだと、三石さんは伝えました。


苦しかった経験を「糧」に変える

相談者は、職場での理不尽な扱いを思い出すと今も涙が出てしまうと言います。


三石さんは、その涙を「過去と決別するための通過点」と受け止めました。

「あなたが経験したことは、無駄にはならない。人の痛みがわかる人ほど、次の場所で人に優しくできるのです」

たとえ今は辛くても、その経験が後の人生で誰かを救う力になることもあります。


過去を忘れようとするのではなく、「あの経験があったから今の自分がある」と少しずつ受け入れていく——そのプロセスこそが“癒し”なのかもしれません。


ウルヴェ京さんからの寄り添い

パーソナリティーの田中ウルヴェ京さんは、心理カウンセラーとしても知られる方です。

「真面目な人ほど、自分を追い込みがちです。『もう少し頑張れたはず』と思う気持ちは自然ですが、
今は“頑張らないこと”を頑張ってください」

その言葉に、相談者は涙ながらに「ありがとうございます」と返しました。


まとめ

人は、頑張りすぎるときほど「まだできる」と自分を奮い立たせてしまいます。


けれど、それが心や体の限界を越えてしまうこともありますよね。

今回の相談者さんのように、仕事に誇りを持ち、真摯に向き合ってきた人ほど、傷ついたときに自分を責めてしまう傾向があります

でも、三石さんが語ったように——「泣くのも生きている証」。


立ち止まることも、人生の大切な一部です。

家族という居場所があるなら、今はそこに心を預けていい。


そして、再び歩き出すときには、これまで以上に「人の気持ちがわかるあなた」でいられるはずです。

苦しみを経験した人ほど、他人の優しさにも敏感になります。


それは決して弱さではなく、人生の深みを知る強さです。



放送はこちらから視聴できます

今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

人生に正解はありませんが、誰かの悩みを知ることで、自分の心が少し楽になったり、新しい考え方に気づけることもあります

このブログが、読んでくださった方の「明日を生きるヒント」になれば嬉しいです。

またぜひ遊びに来てくださいね。

以上、悟(さとる)でした。

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