テレフォン人生相談 2025年12月2日 火曜日
パーソナリティ: 今井通子さん
回答者: マドモアゼル愛先生(心についてのエッセイスト)

こんにちは、悟(さとる)です。
本日はテレフォン人生相談から、家庭内で盗みを繰り返す18歳の息子と、学費を出さないと決めた母親の迷いです。
「もう限界だ」と感じるほどの出来事が積み重なると、親子の会話はいつのまにか“裁判”のようになります。
正しさを積み上げても、気持ちが追いつかない。
今回の相談は、その苦しさが静かに滲む内容でした。
■小学生から続いた「家の中の盗み」
相談者は45歳の女性。
10年以上前に離婚し、子ども3人を育ててきました。
長男は18歳、下に娘が2人います。
悩みの中心は、長男の盗癖です。
始まりは小学校高学年。
コンビニでお菓子を盗むことが発覚し、母親として一緒に謝りに行ったものの止まりませんでした。
中学1年で万引きが表面化し、常習性を疑われ児童相談所に引き渡され、約3か月離れて暮らした時期もあったといいます。
万引きしたのは成人向けの本でした。
その後、外での問題行動は減った一方、家の中でお金が消える状態が続きます。
祖父母宅では新聞代の現金が取られ、問い詰められて嘘がばれ、祖父に丸坊主にされた経験もあったそうです。
家庭としては現金を置かない、金庫を使う、財布の中身を管理するなど、対策を重ねてきました。
■形を変えて続く課金と送金
現金の管理を強めると、今度は“見えにくいお金”へ移っていきます。
中学から持たせたスマホの支払いが母のクレジットカードに紐づいており、Apple Payを通じたゲーム課金が繰り返されたのです。
話し合って止まる時期があっても、また再発する。
18歳になりアルバイトもしているため、携帯契約は本人名義に切り替え、クレジットカードに落ちない形にしました。
ところが今度は、母が使うのを見て覚えたパスワードを使い、PayPayから自分へ送金していたことが発覚します。
金額は3万3千円。
長年の分も含めれば10万円以上、体感としてはもっと大きな傷として残ります。
何よりつらいのは、発覚後に「反省の色がない」と感じたことでした。
怒りと失望の中で、相談者は言います。
大学に行きたいなら自分で稼ぐか奨学金で行ってほしい、今の時点で学費は出せない、と。
「学費を出さない判断は正しかったのか」――そこが今日の問いでした。
■マドモアゼル愛先生が見た“親子の構図”
マドモアゼル愛先生はまず、児童相談所に預けられた経験が長男にとって大きなショックだったのではないか、と入口を置きます。
長男自身も「外ではもうしない。家では許されると思ってやっていた」と語ったそうで、そこに先生は「母はどう受け止めたのか」を重ねて問いかけました。
その上で先生が強く指摘したのは、家庭内に「論理」を持ち込みすぎている点です。
家庭は、正しさだけで動く場所ではない。
論理は最後には“自分が納得できる形”へ寄っていきやすい。
だからこそ、そこに頼りすぎると、気持ちの行き場が失われるのだと。
先生は金額の比較もします。
家庭内で取られたお金が最大でも20万円程度だとしたら、大学を諦めさせたときに浮くのは500万円規模ではないか。
そこを「公平だと思うか」と問うたのです。
相談者が「信頼には代えられない」と返すと、先生は「信頼関係を成立させたいのは母の側の言い分で、子どもから見れば“大学をこの理由で奪う母”は信頼できないと思われかねない」と返します。
■助言の核は「罰則は罰則、でも母は母」
この回の助言の芯は、驚くほどシンプルでした。
罰することと、母として支えることを混ぜないこと。
先生は「怒ることは怒る。でも“スープはできたよ”は別」と言います。
叱責や制裁があっても、生活の安心は別ルートで流れていなければ家庭にならない。
そこが欠けると、子どもは“安心の不足”を埋める方向へ向かいやすい、と見立てます。
児童相談所で「母性をもう少し」と言われた過去も振り返りながら、長男が必要としていたのは、正論の整理より先に、土台としての安心だったのではないか、と。

また先生は、長男の一面も拾います。
アルバイトで月10万円を稼ぐのは、意思も力も要る。
立派と言い切れないとしても、彼なりに人生を考える姿勢はある。
大学進学は、その人生設計の中にあった“最低限の期待”だったかもしれない。それを奪うのはかわいそうだ、と。
そして、謝罪や感謝についても順番を入れ替えます。
「反省の色」「申し訳ない」という言葉は、安心した後に出てくることが多い。
安心がないまま要求しても、出てこない。母にも苦労があり、意地を張っている。
息子も大変だった。意地の張り合いになってしまった――先生はそう言って、涙声になりました。
■「盗みは母のお酒と同じ」発言の意味を静かにほどく
終盤、先生は印象的な比喩を出します。
息子の万引きは、母のお酒と同じだ、と。
この言葉は、盗みと飲酒を同列に裁くためではなく、「それをしなくちゃ生きていけなかった時期がある」という理解の方向へ話を向けるために置かれたように聞こえます。
誰かを悪者にして切り捨てた瞬間、家庭は“勝ち負け”になります。
けれど本当は、親子ともに、心がもたない日々を何とかつないできたのかもしれない。
先生は「いつ分かってくれるかはいい。死ぬまでに分かってくれればいい」と言い、母には“待つ仕事”があるとも伝えます。
ここには、今日すぐに結論を出すより、親子関係を長い時間の中で立て直す視点が含まれていました。
■まとめ:線引きは必要、ただ“切り札”にしない
今回の相談は、家庭内窃盗という重い問題を扱いながら、答えが「厳罰」でも「放任」でもありませんでした。
学費を出すか出さないかは、家庭の現実として当然の判断材料になります。
ただ、それを“罰”として一気に差し出すと、親子の関係は「取引」になりやすい。
先生が言ったように、罰則は罰則、母として支えることは別、という分離は、感情が絡む局面ほど大切になります。
悟としては、相談者がここまで疲れ切るまで、ひとりで抱えてきたこと自体がすでに苦労の証だと感じます。
正しさだけでは届かない場面で、安心を先に置く――その順番を一度組み替えることが、親子の再出発の足場になるのかもしれません。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
人は誰かの悩みや言葉に触れたとき、ふと自分の心が揺れていることに気づくことがあります。
その小さな揺れは、これからの自分を整える大切な“サイン”なのかもしれません。
もし今、胸の奥にそっと抱えている思いがあり、「どこかに話してみようかな」と感じている方がいらっしゃれば、いくつかの相談先をここに置いておきます。
どれが正しいということはありません。
今のあなたに合う形を、静かに選んでいただければ十分です。
◆ テレフォン人生相談に相談してみたい方へ
寄り添って話を聴いてもらいたいとき、人生経験の深い回答者の言葉に触れたいとき──
テレフォン人生相談は、長い歴史の中で多くの方の迷いを受け止めてきた相談先です。
番組という特性上、相談内容が“広く届けられる形”になることもありますが、その分だけ、そこで得られる言葉には力があります。
◆ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ
テレフォン人生相談のように、限られた時間の中で専門家の言葉を受け取る形が合う方もいれば、
「相談したこと自体が、どこかに伝わってしまうかもしれない」
その不安が先に立って、踏み出せない方もいらっしゃるかもしれません。
このブログでは、そうした気持ちを抱えたままでも選べる、誰にも知られず、心の内をそっと預けられる相談先もまとめています。
無理に利用する必要はありません。
ただ、自分に合う距離感の相談先が他にもあるということを、必要になったときに思い出していただければ十分です。
▶︎ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ
◆ 言葉にしきれない思いを、静かに整理したいときに
誰かに直接相談するほどではないけれど、頭の中や胸の奥に、まだ整理しきれていない思いが残っている──そんなときもあるかもしれません。
「何が不安なのか」「どこで引っかかっているのか」それをはっきりさせるだけで、気持ちが少し落ち着くこともあります。
最近は、名前を明かさず、顔も出さず、今の状況や気持ちを言葉にするだけで、第三者の視点を受け取れるサービスもあります。
答えを決めてもらうためではなく、自分の気持ちを整理する“きっかけ”として、こうした選択肢があることも、そっと置いておきます。
どの道を選んだとしても、それは “自分を大切にした証” だと思います。
またゆっくりとお会いできますように。
──悟(さとる)


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