長男の借金を肩代わりする親が直面する限界と線引き

同居する息子の借金問題を前に、静かに考え込む70代男性のイラスト

2025年11月29日(土)
パーソナリティ:今井通子
回答者:坂井眞(弁護士)


こんにちは、悟(さとる)です。

本日はテレフォン人生相談から、同居する息子の借金を何度も肩代わりしてきた父親が、これ以上どう向き合えばいいのか悩む相談内容の概要です。


家族だから助けたい気持ちと、助けるほど状況が悪くなるような感覚。

その間で立ち尽くしてしまうことがあります。

今回の相談は、まさにその「迷いの中心」を丁寧に照らしていました。

息子の本音が見えないまま、支払いだけが積み上がっていく。心細さは、数字以上に重いものです。

■「何に使ったのか」がわからない不安

相談者は76歳。

妻は70歳で、34歳の長男と同居しています。

息子は働いているのに、金銭トラブルが長く続いてきました。

問題は「借金がある」ことだけではなく、使途が見えないことでした。


問いただしても、息子ははっきり答えない。

怒鳴り合いになるわけでもなく、言い逃れを繰り返すわけでもない。

ただ、肝心なところが抜け落ちたまま話が終わってしまう。

家の中に、説明のない空白が残り続けます。

この空白は、親にとってかなり厄介です。

想像が膨らみ、疑いが強くなり、次に起きることを止められない感覚だけが増えていくからです。

息子を信じたい気持ちが残るほど、疑ってしまう自分にも疲れてしまう。

家族の会話が、だんだん「確認」と「追及」だけになっていくのもつらいところです。

■始まりは学費、そしてカード債務へ

相談者が強く覚えているのは、息子が大学に通っていた頃の出来事です。

大学3年の時点で授業料未納の通知が届き、未納分として約60万円を支払った末に、息子は退学することになりました。

若さゆえの迷いだったのか、生活が崩れていたのか、その核心も言葉にならないまま時間が過ぎます。

その後、息子は就職しました。

しかし社会人になってから、今度はカード会社から未払いの連絡が届くようになります。

最初は約170万円。次に250万円前後。

支払いの知らせが来るたび、相談者が家計から穴を埋めてきました。


息子が「もうしない」と言ったかどうかも、相談者の中では曖昧です。

はっきりと約束させたかったのに、話がうまく噛み合わないまま、結局は支払うしかない状況になった。そうして、同じ形が何度も繰り返されていきます。

ここで見落とせないのは、相談者の生活もまた有限だということです。

年齢を考えれば、今後の医療費や生活費、老後資金への不安が自然に出てきます。

息子の問題を「今だけ」では終わらせられない。

だからこそ、相談者は電話の向こうで、静かに追い詰められていました。

■坂井眞先生が示した「支払う前に考える順番」

坂井眞先生の助言は、責める調子ではありませんでした。

むしろ、相談者が長年抱えてきた負担を前提にしながら、次の一手を整理していく語り口でした。


ポイントは、支払いを続けることが「親としての愛情」になってしまっている危うさです。

お金を出すことで、家の平穏が一時的に戻る。督促が止まる。

衝突を避けられる。けれど、その平穏は短く、次の未払いがまたやってくる。

ここで重要なのは、支払いが「問題の解決」ではなく「先送り」になっている可能性です。

先生は、親が無条件に肩代わりし続ける形は、息子の行動を変えにくくする、と静かに示します。

息子にとっては、最終的に親が助けてくれるという前提が残りやすいからです。

そして、状況によっては債務整理という選択肢も視野に入る、という話が出てきます。

自己破産や個人再生といった言葉は、耳にすると重く感じます。

ただ、先生の文脈は「罰」ではありません。生活を立て直すための手続きとして、現実的に検討する価値がある、という位置づけでした。


親が全部を背負うのではなく、法的な枠組みを使って整理し、本人が自分の足で立ち直る道筋を作る。

そこに向けて、家族ができることを考える、という順番です。

家族の問題について気持ちを整理しながら静かに前を見つめる70代男性のイラスト

■「本音がわからない息子」との距離の取り方

相談者が一番苦しんでいたのは、息子の気持ちや実態が見えないことでした。

浪費なのか、ギャンブルなのか、あるいは言いにくい事情があるのか。

何も確定できないまま、親だけが不安を引き受けている。

こういうとき、言葉の強さだけで突破しようとすると、家族関係が壊れやすくなります。

問い詰めれば、息子は黙る。黙れば、親はさらに疑う。

その循環ができると、家の中に「話すほど悪くなる空気」が生まれてしまいます。


坂井眞先生の助言は、息子を裁くより先に、親が線を引く必要がある、という方向でした。

どこまでが親の責任で、どこからが息子の責任なのか。

曖昧なまま支払いを続けた結果、境界が溶けてしまっている。

その線引きは、冷たさではありません。

家族として関係を続けるための形です。

息子に伝えるべきなのは、怒りの結論より、現実の宣言です。

たとえば、今後は借金の肩代わりはしない、もし返済不能なら法的整理を一緒に検討する、家計から出せる範囲には限界がある、といったように。


言い方は強くなくていいのです。

ただ、曖昧にせず、同じ内容を淡々と繰り返せる形に整える。

そうすることで、会話が感情ではなく、生活のルールに近づいていきます。

■家族の優しさが「依存の仕組み」になるとき

今回の相談で胸に残るのは、相談者が悪いわけではないのに、結果として「支え方」が息子の逃げ道になってしまったかもしれない、という点です。

親心は、簡単に割り切れません。

子どもが困っていれば助けたい。

家が荒れるのは避けたい。

夫婦で落ち着いた暮らしを守りたい。

けれど、優しさが続くほど、息子側の「自分で止める機会」が減っていきます。

助けがあることで、危機感が薄れる場合もあります。

親が求めているのは、息子を追い出すことではなく、息子が自立して、家の空気が落ち着くことです。


そのためには、支援の形を変える必要が出てきます。

お金を出す支援から、整理の手続きを促す支援へ。

生活のルールを作る支援へ。

本人が現実を直視する支援へ。

そこへ移るとき、親の側も怖さを感じます。

関係が悪化するかもしれない。責められるかもしれない。

けれど、怖さがあるからこそ、線引きは「今」必要になっていきます。

■まとめ:家族の中で、責任の場所を戻していく

今回の相談は、借金問題でありながら、実は家族の境界線の話でもありました。

息子の問題を親が引き受け続けるうちに、家族の役割が入れ替わってしまうことがあります。

親が守っているつもりで、結果として親が消耗し、息子が現実から遠ざかる。

そういう形が長く続くと、家庭は静かに疲弊していきます。

坂井眞先生の助言は、親が冷たくなることを勧めたものではありませんでした。

法的整理も含め、現実的な道を用意し、本人に責任を戻していく。

そのために、親は「助ける」の形を変える。そういう提案だったように感じます。

家族の問題は、正解が一つに定まりにくいものです。

ただ、支え続けて苦しくなっているなら、支え方を変えること自体が一つの前進です。

親子関係を壊すためではなく、関係を続けるための線引き。

今回の相談は、その大切さを静かに教えてくれました。


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

人は誰かの悩みや言葉に触れたとき、ふと自分の心が揺れていることに気づくことがあります。

その小さな揺れは、これからの自分を整える大切な“サイン”なのかもしれません。

もし今、胸の奥にそっと抱えている思いがあり、「どこかに話してみようかな」と感じている方がいらっしゃれば、いくつかの相談先をここに置いておきます。

どれが正しいということはありません。

今のあなたに合う形を、静かに選んでいただければ十分です。

◆ テレフォン人生相談に相談してみたい方へ

寄り添って話を聴いてもらいたいとき、人生経験の深い回答者の言葉に触れたいとき──

テレフォン人生相談は、長い歴史の中で多くの方の迷いを受け止めてきた相談先です。

番組という特性上、相談内容が“広く届けられる形”になることもありますが、その分だけ、そこで得られる言葉には力があります。

▶︎ テレフォン人生相談・相談受付ページ(公式)

◆ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ

テレフォン人生相談のように、限られた時間の中で専門家の言葉を受け取る形が合う方もいれば、

「相談したこと自体が、どこかに伝わってしまうかもしれない」

その不安が先に立って、踏み出せない方もいらっしゃるかもしれません。

このブログでは、そうした気持ちを抱えたままでも選べる、誰にも知られず、心の内をそっと預けられる相談先もまとめています。

無理に利用する必要はありません。


ただ、自分に合う距離感の相談先が他にもあるということを、必要になったときに思い出していただければ十分です。

▶︎ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ

◆ 言葉にしきれない思いを、静かに整理したいときに

誰かに直接相談するほどではないけれど、頭の中や胸の奥に、まだ整理しきれていない思いが残っている──そんなときもあるかもしれません。

「何が不安なのか」「どこで引っかかっているのか」それをはっきりさせるだけで、気持ちが少し落ち着くこともあります。

最近は、名前を明かさず、顔も出さず、今の状況や気持ちを言葉にするだけで、第三者の視点を受け取れるサービスもあります。

答えを決めてもらうためではなく、自分の気持ちを整理する“きっかけ”として、こうした選択肢があることも、そっと置いておきます。

▶︎ 今の気持ちを、静かに整理してみたい方へ


どの道を選んだとしても、それは “自分を大切にした証” だと思います。

またゆっくりとお会いできますように。

──悟(さとる)

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