テレフォン人生相談 2025年11月22日 土曜日
パーソナリティ: 今井通子
回答者: 塩谷崇之(弁護士)

こんにちは、悟(さとる)です。
本日はテレフォン人生相談から、夫の浮気を疑う気持ちが止まらず、家に居づらさを感じる75歳女性の相談です。
確かな証拠はないのに、不安だけが現実味を帯びて迫ってくる。
しかも、相手は長年連れ添った夫です。疑い続けるほど苦しくなり、責めるほど関係がほどけていく。
その行き場のない感覚が、静かに胸に残る回でした。
■家に戻るたび、何かが動いた気がする
相談者は75歳。
夫は71歳で、娘さんが二人います。
夫婦は長く飲食店を営み、店を閉じていまは年金生活。
暮らし自体は落ち着いているはずなのに、相談者は「この家にいたいのに、居づらい」と口にします。
居づらさの核にあるのは、夫への疑いでした。
三年前にうつ状態になった時期と重なるように、夫が再就職した。
その頃から「女がいるのではないか」と責め立てるようになり、夫からは「全部お前が悪い」「俺の人生をお前が変えた」と突き放される形になってしまったといいます。
疑いの根拠は、決定的な場面を見たわけではありません。
散歩やジョギングで外に出て戻ってくると、物の位置が違う気がする。
鍵を持った女性が出入りして、相談者が帰る頃にはもういないのではないか?そう感じてしまう。
けれど夫は「見間違いだ」「証拠がない」と否定し、外泊もしない。
相談者自身も、心のどこかで「被害妄想かもしれない」「嫉妬や猜疑心かもしれない」と分かっている部分がある。
治療は続けていて薬も飲んでいる。
それでも、考え方がマイナスへ引っ張られ、頭の中がその方向で固まってしまう感覚を止められないのです。
■責めれば責めるほど、夫は離れていく
塩谷崇之先生は、まず相談者の状態を丁寧に受け止めた上で、見立てをはっきり言葉にします。
疑いをそのまま夫にぶつけ続けること自体が、うつの症状としての不安や猜疑心と結びついている可能性が高い。
夫に強い不満があるわけではなく、むしろ「一生懸命尽くしてくれた」と感謝している。
その一方で、疑いが頭から離れず、責める言葉が先に出てしまう。
先生は、その構図が続けば続くほど、夫は会話を避け、心を閉ざし、「もう勝手にしろ」という姿勢になっていくと指摘しました。
ここで先生が語ったのは、道徳的な叱責ではありません。
責める言葉が、現実に関係を損ねていくプロセスを淡々と説明していきます。
疑いは、好きだからこそ生まれる執着の形でもある。
だからこそ、執着が出た瞬間に「恨み節」をぶつけるのではなく、別の表現に置き換える必要がある、と。
疑いをぶつけても解決にはならず、関係だけが削れていく。
先生はそう線引きを示し、相談者の気持ちを「愛情の裏返し」として整理し直しました。
■不安の置き場所を、夫以外に作る
塩谷先生が繰り返したのは、相談者の不安が“間違い”かどうかよりも、いまの生活を守るには「不安の扱い方」を変える必要がある、という点です。
薬で不安感や猜疑心を和らげることは大切。
ただ、それだけで足りない時もある。夫にぶつけると夫が逃げていくのなら、相談者の不安を受け止めてくれる別の受け皿が要る。
そこで先生は、カウンセリングのような場で気持ちを言葉にしていくことを勧めました。
相談者はすでに心療内科にかかり、こうした悩みも話していると言います。
先生は、その流れを否定せず、むしろ続ける価値を示しました。
気持ちを整理する相手が夫だけになってしまうと、夫婦の会話が“取り調べ”に近づいてしまう。
そうなる前に、安心して話せる場所を増やす。
これは夫婦関係のためでもありますが、何より相談者自身の心を守るための工夫でもあります。
そして、夫との時間については、過去の共有に戻っていく提案がありました。
長く連れ添い、子育てもしてきた。
楽しい思い出も少なくないはずだ、と。
思い出を一緒にたどることは、過去を美化するためではなく、今の二人がどこから来たのかを思い出す作業になります。
そこに戻るほど、夫が少しずつ心を開く可能性がある、と先生は静かに励ましました。

■今井通子さんの一言は「一緒にいる時間を守る」
再びパーソナリティに戻り、今井通子さんは、さらに別の角度から相談者の「気持ちの変え方」を提示します。
話を聞く限り、夫は料理をしたり、生活の中でいろいろ動いてくれる。
相談者より少し若い夫が、暮らしの手を動かしている。
その事実にいったん目を向けよう、と今井さんは促しました。
ここでの提案は、夫の行動を正当化する話ではありません。
疑いの真偽を裁くのではなく、相談者がこれ以上傷つかないために焦点を移す話です。
夫が自分と一緒にいる時には、自分に尽くしてくれている。
その時間が穏やかなら、夫が一緒にいない時に何をしていても「構わない」と考えるほうが、相談者自身は楽になれる。
今井さんは、その感覚を持つことで「幸せに暮らせる」と背中を押しました。
相談者は戸惑いながらも、少しずつ「そうですね」と返していきます。
疑いを消し去るのではなく、疑いがあっても暮らしを壊さない考え方へ、軸を移していく。
今井さんの言葉は、その方向をはっきり指し示していました。
■まとめ:疑いを消すより、暮らしを守る整え方
今回の相談は、夫の浮気の有無を確定する話ではありませんでした。
むしろ、確定できない疑いが心に居座ったとき、どう暮らしを守るか、というテーマだったように思います。
塩谷先生は、疑いを夫にぶつけることが関係を削り、自分も苦しくすることを整理して見せました。
そして不安の置き場所を夫だけにせず、治療やカウンセリングなど別の支えを作る道を示しました。
今井さんは、疑いに生活全体を乗っ取られないために、「一緒にいる時間」に価値を戻す考え方を差し出しました。
夫婦は、白黒がつかないまま日々を続けなければならない場面があります。
そこで必要なのは、正しさの勝負ではなく、心が壊れない線の引き方なのだと思います。
疑いが浮かぶ自分を責めすぎず、けれど疑いに主導権を渡しすぎない。
そんな距離感が、静かに暮らしを立て直す一歩になるのかもしれません。
放送はこちらから視聴できます
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
人は誰かの悩みや言葉に触れたとき、ふと自分の心が揺れていることに気づくことがあります。
その小さな揺れは、これからの自分を整える大切な“サイン”なのかもしれません。
もし今、胸の奥にそっと抱えている思いがあり、「どこかに話してみようかな」と感じている方がいらっしゃれば、いくつかの相談先をここに置いておきます。
どれが正しいということはありません。
今のあなたに合う形を、静かに選んでいただければ十分です。
◆ テレフォン人生相談に相談してみたい方へ
寄り添って話を聴いてもらいたいとき、人生経験の深い回答者の言葉に触れたいとき──
テレフォン人生相談は、長い歴史の中で多くの方の迷いを受け止めてきた相談先です。
番組という特性上、相談内容が“広く届けられる形”になることもありますが、その分だけ、そこで得られる言葉には力があります。
◆ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ
テレフォン人生相談のように、限られた時間の中で専門家の言葉を受け取る形が合う方もいれば、
「相談したこと自体が、どこかに伝わってしまうかもしれない」
その不安が先に立って、踏み出せない方もいらっしゃるかもしれません。
このブログでは、そうした気持ちを抱えたままでも選べる、誰にも知られず、心の内をそっと預けられる相談先もまとめています。
無理に利用する必要はありません。
ただ、自分に合う距離感の相談先が他にもあるということを、必要になったときに思い出していただければ十分です。
▶︎ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ
◆ 言葉にしきれない思いを、静かに整理したいときに
誰かに直接相談するほどではないけれど、頭の中や胸の奥に、まだ整理しきれていない思いが残っている──そんなときもあるかもしれません。
「何が不安なのか」「どこで引っかかっているのか」それをはっきりさせるだけで、気持ちが少し落ち着くこともあります。
最近は、名前を明かさず、顔も出さず、今の状況や気持ちを言葉にするだけで、第三者の視点を受け取れるサービスもあります。
答えを決めてもらうためではなく、自分の気持ちを整理する“きっかけ”として、こうした選択肢があることも、そっと置いておきます。
どの道を選んだとしても、それは “自分を大切にした証” だと思います。
またゆっくりとお会いできますように。
──悟(さとる)


コメント