テレフォン人生相談 2025年11月19日 水曜日
パーソナリティ: 玉置妙憂
回答者: 大迫恵美子(弁護士)

こんにちは、悟(さとる)です。
本日はテレフォン人生相談から、高校生の娘さんの妊娠を前に、父親がどこまで関わり、何を守るべきかが問われた相談です。
「結婚するって言っていたのに」「急に堕ろしてほしいと言われた」――言葉だけを追いかけるほど、心は落ち着かなくなります。
けれど今回の相談は、気持ちの整理だけで終わらず、現実の確認と安全の確保が避けられない内容でした。
■甘い同意が招いた“現実の入口”
相談者は51歳の男性で、離婚した元妻は近所に住み、娘とも会える距離感にあります。
娘は17歳の高校生。
交際相手は1つ上の18歳で、ここ半年ほど付き合い、最近は相談者の家で「ほぼ同棲」のような形で過ごしていたといいます。
相談者はふたりの関係を否定せず、むしろ応援してきました。
ところが妊娠が分かった直後、ふたりは喜んでいた雰囲気だったのに、数日後、相手側の親の影響もあったのか「生活できる感じがしない」と言い出し、中絶を求める流れになります。
娘は深く傷つき、父親である相談者も、何が起きているのか掴めないまま動揺していました。
妊娠は初期で、まだ2か月ほどかもしれない、という段階です。
ここで相談者は、相手に対して「謝罪がない」ことへの怒りや、損害賠償のような話まで考え始めます。
娘の痛みを思えば当然の感情もありますが、感情が前に出るほど、当事者の話し合いが壊れてしまう危うさも見え隠れしていました。
■大迫恵美子の視点:結婚は“解決策”ではない
大迫恵美子先生はまず、ふたりの「結婚しようね」という言葉の内実を確かめます。
将来設計はかなり曖昧で、学生同士で「アルバイトをして家庭を築く」といった程度の話しか聞こえてこない。
恋愛の盛り上がりの延長で描いた未来は、出産や育児の現実に触れた途端、簡単に折れてしまう――そのことを静かに言葉にしていました。
また、できちゃった結婚が必ずしも安泰ではないことも、弁護士として見てきた事例を踏まえて語ります。
結婚した途端に出産と育児が始まり、ふたりが「夫婦としての記憶」を積み上げる時間が少ないまま疲弊し、「こんなはずじゃなかった」に傾きやすい。
だから、父親が「責任を取れ」と結婚へ押し込んでも、めでたしめでたしにはならない。
ここで必要なのは、相手を追い詰める力ではなく、状況を立て直すための冷静さだと示していました。
そして、もし娘が「産んで育てる」と強く決めているなら、その選択は他人が操作できない、という線引きも置かれます。
産む・産まないの最終決定は娘自身の人生であり、周囲はその現実を受け止めた上で、支え方を考えるしかない。
相談者が“正しさ”で娘を動かそうとすると、かえって孤立させる危険がある、そんな含意がありました。
■損害賠償より先に見るべきもの
相談者は「謝罪があったとして損害賠償請求はできるのか」と尋ねます。
大迫恵美子先生は、妊娠そのものを違法行為として一方的に責め立てる理屈は立ちにくい、と現実的な整理をします。
もちろん娘の身体的・精神的負担は大きいから、いたわりや配慮を求めること自体は自然です。
ただ、「損害賠償」という言葉を前面に出すと、話し合いの場が対立の舞台になりやすい。
だからこそ、父親は感情的に前へ出過ぎない方がよい、と釘を刺していました。
この助言は、相手を甘やかすためではなく、娘を守るためのものだと私は受け取りました。
怒りは娘の味方である証でもありますが、怒りの矛先が「相手を屈服させる」方向へ傾いた瞬間、娘の気持ちや安全は後回しになってしまいます。
まず何を守るのか。順番を間違えないことが大切です。

■首を絞めた話が示す“もう一つの危険”
相談の途中で、相談者は気になる事実を口にします。
頻繁ではないが、娘から「彼に首を絞められ、意識を失ったことがある」と聞いたことがある。
しかもその時、相談者も同じ家にいたが、後から知った話だった、と。
ここで話は、妊娠や結婚の是非から、娘の安全の問題へ一気に重心が移ります。
大迫恵美子先生は、過去の出来事として扱うのは難しい面があるとしつつも、DVの証拠を取っておき「DVがあったので別れさせたい」といった形で動く可能性、そしてDVには刑罰の枠組みがあることにも触れます。
つまり、ここは「謝罪があるかどうか」以前に、関係を続けること自体の危険性を見極める地点だということです。
妊娠は、当事者の距離をいっそう近づけます。
近づくほど、相手の性質が危険であれば、被害は深くなりやすい。
娘が傷ついた理由が「中絶を求められた」ことだけなのか、それともそれ以前から、力関係や恐怖が積み重なっていたのか。
父親はそこを丁寧に見に行かなければならない。
相談者の迷いの奥にある“見落としたくないもの”が、ここで浮かび上がっていました。
■玉置妙憂の締め:大人が渡せるのは知恵だけ
終盤、再び玉置妙憂が語ります。
17歳と18歳は、経験も判断力もまだ十分ではない。
恋愛で盛り上がるのは自然だが、そのときに「そんなに甘いものじゃない」と伝えられるのが大人の役割であり、大人が子どもに渡せるのは経験から積んだ知恵なのだ、と。
そしてこれからは知恵をフルに使って、娘を守ってください、と強く促して相談を終えました。
この言葉は叱咤でありながら、突き放しではありません。
ここから先、相談者が頼もしい存在になれる余地があるからこそ、あえて厳しい言い方になったのだと思います。
■まとめ:父の役目は“相手を裁く”より“娘を守る”
今回の相談で見えてきたテーマは、親の優しさが、ときに「境界の薄さ」として表れることです。
応援のつもりで許した半同棲は、当人たちの責任感を育てる前に、現実だけを早送りしてしまいました。
妊娠が分かって初めて、生活、出産、育児、相手家族との折衝が一度に押し寄せ、言葉の約束は簡単に揺らぐ。
その揺れで一番傷つくのは、身体を抱えている娘です。
ここで父親がすべきことは、相手を追い詰める交渉術を磨くことではなく、娘の心身の安全と意思を丁寧に確認し、必要なら距離を取る判断を支えることだと感じます。
とくに首を絞めるような話がある以上、関係継続の是非は、恋愛の延長線では測れません。
そして、これは家族の問題でもあります。
離婚した元妻とも連携できる距離にいるなら、娘が孤立しない体制をつくることが最優先になるはずです。
大人が渡せる知恵とは、正論を押し付けることではなく、危険を見抜き、逃げ道を用意し、娘が自分の人生を選び直せる場所を守ることなのだと思います。
放送はこちらから視聴できます
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
人は誰かの悩みや言葉に触れたとき、ふと自分の心が揺れていることに気づくことがあります。
その小さな揺れは、これからの自分を整える大切な“サイン”なのかもしれません。
もし今、胸の奥にそっと抱えている思いがあり、「どこかに話してみようかな」と感じている方がいらっしゃれば、いくつかの相談先をここに置いておきます。
どれが正しいということはありません。
今のあなたに合う形を、静かに選んでいただければ十分です。
◆ テレフォン人生相談に相談してみたい方へ
寄り添って話を聴いてもらいたいとき、人生経験の深い回答者の言葉に触れたいとき──。
テレフォン人生相談は、長い歴史の中で多くの方の迷いを受け止めてきた相談先です。
番組という特性上、相談内容が“広く届けられる形”になることもありますが、その分だけ、そこで得られる言葉には力があります。
◆ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ
テレフォン人生相談のように、限られた時間の中で専門家の言葉を受け取る形が合う方もいれば、
「相談したこと自体が、どこかに伝わってしまうかもしれない」
その不安が先に立って、踏み出せない方もいらっしゃるかもしれません。
このブログでは、そうした気持ちを抱えたままでも選べる、誰にも知られず、心の内をそっと預けられる相談先もまとめています。
無理に利用する必要はありません。
ただ、自分に合う距離感の相談先が他にもあるということを、必要になったときに思い出していただければ十分です。
▶︎ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ
◆ 言葉にしきれない思いを、静かに整理したいときに
誰かに直接相談するほどではないけれど、頭の中や胸の奥に、まだ整理しきれていない思いが残っている──そんなときもあるかもしれません。
「何が不安なのか」「どこで引っかかっているのか」それをはっきりさせるだけで、気持ちが少し落ち着くこともあります。
最近は、名前を明かさず、顔も出さず、今の状況や気持ちを言葉にするだけで、第三者の視点を受け取れるサービスもあります。
答えを決めてもらうためではなく、自分の気持ちを整理する“きっかけ”として、こうした選択肢があることも、そっと置いておきます。
どの道を選んだとしても、それは “自分を大切にした証” だと思います。
またゆっくりとお会いできますように。
──悟(さとる)


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