テレフォン人生相談 2025年11月13日 木曜日
パーソナリティ: 柴田理恵
回答者: 塩谷崇之(弁護士)

こんにちは、悟(さとる)です。
本日はテレフォン人生相談から、妻の収集癖と情緒不安定に疲れ、離婚を考え始めた男性の悩みです。
家の中が物で埋まり、家族の会話が減っていく。
ふとした火種が大きな騒動になり、警察や児童相談所という言葉まで現実味を帯びてくると、心が冷えてしまうのも無理はありません。
けれど、今ここで「切るか、残るか」だけを急いで決めるほど、答えが遠のくこともあります。
塩谷先生の言葉は、相手を断罪するのではなく、家庭の空気をもう一度整える方向へ、静かに視点を戻してくれました。
■相談の概要:家が「新品の在庫」で溢れ、妻の波が家族を揺らす
相談者は43歳の男性。
妻は38歳で、17歳の娘と12歳の息子の4人暮らしです。
結婚当初から妻の精神的な不安定さを感じており、特に目立つのが日用品の買い溜めでした。
洗剤やシャンプーなどを種類ごとに集め、「売り切れると困る」と不安を口にして買ってきますが、実際には開けずに増えていくばかり。
4DKの賃貸は荷物で溢れ、家のことが回りにくくなっているといいます。
■受診を拒む妻、検査だけを繰り返す不安
柴田さんが「病院にかかったことは」と尋ねると、妻は脳や心臓、血液などの精密検査は受けたものの、心療内科には頑なに行かないといいます。
理由は、安定のための薬を飲むと副作用が出るのでは、という怖さ。
相談者は「何度も勧めたが拒否される」と語り、手を尽くしても届かないもどかしさが滲みます。
ここには、治療への抵抗だけでなく、「自分は病気ではない」という防衛や、助けを求めること自体への羞恥が絡むこともあります。
もちろん番組の情報だけで断定はできませんが、少なくとも相談者が感じているのは、理屈では動かない壁の固さでした。
家事は相談者が得意で料理を担い、子どもも一緒に作ることがある一方、妻は娘に厳しく、衝突が続いてきました。
相談者は、娘に何かしてあげようとすると妻が「なんで娘だけ」と反発する場面があり、妻が求めているのは娘への不公平感というより、自分にも向けてほしい関心なのだろうと受け止めています。
娘が幼稚園の年中の頃、園から児童相談所に通告があったこともあり、相談者は「ネグレクトと言われた」と振り返ります。
■火種は化粧品、そして110番へ
決定的に不安が強まったのは、娘が妻の化粧品を使った出来事でした。
家庭内で「それくらいで」と話している最中に妻が110番し、警察が双方の話を聞いたうえで「子どもを育てる環境として厳しい」として児童相談所に通告すると告げられたといいます。
相談者が迷うのは、離婚すれば問題が解決するのか、という点です。
しかも妻は「一人で生活できない」「寂しい」と訴え、離婚を望んでいる様子でもありません。
■塩谷崇之の見立て:問題の芯は「寂しさの穴埋め」
塩谷先生は、収集癖を単なるわがままではなく、寂しさや満たされなさを埋める行動として捉えます。
夫や家族から「愛されていない」と感じるストレスが、物を集める安心感に向かっているのではないか、という印象だと語りました。
そして、相談者が語ってきた事情は、少なくとも法律上の「離婚原因」には当たりにくい、と釘を刺します。
合意があれば離婚はできても、妻が離婚したいと言っていない以上、まず考えるべきは別れの手続きではなく、妻の不安定さをどう落ち着かせるかだ、と。
塩谷先生が指摘したのは、ここに「循環」が生まれていることです。
妻が不安定になれば、家族は距離を取りたくなる。距離が生まれれば、妻はさらに「自分は大事にされていない」と感じ、ますます不安定になる。
誰かが悪いのではなく、家庭という小さな社会が、いつのまにかそう回り始めてしまう。
この循環は、外から見ると単純でも、内側にいると抜け道が見えにくいものです。
相談者は、子どもたちを守りたい一心で妻に厳しく言いそうになる。
しかしそれが「否定」と受け取られれば、妻は心を閉ざし、家の空気はさらに硬くなる。
塩谷先生は、その苦しい分岐点で、言葉の角を落とすことの意味を説いていました。
■「否定」ではなく「改善」を。家計と在庫の話に変換する

ここで大切なのは言い方です。
塩谷先生は、頭ごなしに「なんでそんなに買うんだ」と責めれば、妻は「否定された」と受け取り、心を閉ざしてしまうと述べます。
だから、やめさせる目的が同じでも、会話の形を変える。
家計が大変だから家計簿をつけよう、何をいくら買ったか一緒に管理しよう、店なら在庫管理だよね、と、冷静な話に置き換えていく。
その冷静さの中に、妻への理解や愛情がにじむと、妻の見方も変わっていくかもしれない。
塩谷先生が繰り返したのは、「否定しない」というより、否定に見えない形で改善を促す工夫でした。
家の問題を「誰が悪いか」にしないで、「どう整えるか」に変える、と言い換えてもよいと思います。
■子どもを真ん中に置きつつ、妻を孤立させない
相談者は料理もでき、子どもも手伝う。
ここを「妻がやらないから仕方なく」ではなく、家族が苦手を補い合っている、と捉え直すことが提案されました。
そうすれば「作ってくれてありがとう」といった言葉が戻り、妻が家庭の輪に入りやすくなる。
さらに、他の3人が結託して「お母さんひどいよね」と妻を悪者にしないこと。
妻を仲間に入れ、愛情を持って接していくことが、結局は子どもたちの安心にもつながる、と塩谷先生は言います。
きれいごとに聞こえるかもしれない。
でも、妻は寂しいのだとしたら、その寂しさをどう埋められるか、という観点から考えてみてほしい――そこが助言の着地点でした。
■今夜から変えられる「話し合いの作法」
もし相談者が今夜、何か一つだけ試すなら、相手の行動を止める言葉より先に、気持ちの居場所を確かめる言葉を置くことだと思います。
「最近、家のことで私も不安が大きい。でもあなたを責めたいわけではない」と前置きし、「一緒に家計を見直したい」「家の中を少し歩きやすくしたい」と、目的を生活の安全と安心に結びつける。
そうすると、対立が「あなた対私」から「問題対私たち」に変わりやすくなります。
もちろん、すぐに劇的な変化は起きません。
けれど、話し合いのたびに否定の刃が抜けていけば、妻が持っている警戒心の鎧も、少しずつ柔らかくなる可能性があります。
塩谷先生が言う「冷静さの中の愛情」とは、そういう小さな積み重ねなのだろうと感じました。
■まとめ
家庭が崩れそうなとき、いちばん手早い答えは「距離を取ること」に見えます。
けれど今回の相談は、距離の前に、言葉の置き方を変える余地が残っていました。
妻の行動をただ止めさせるのではなく、家計と生活を守るための管理として一緒に扱う。
子どもを守るために家庭の空気を整え、妻を孤立させない。
その土台ができて初めて、離婚も含めた選択肢を、落ち着いて比較できるようになります。
焦らなくて大丈夫です。
私が思うに、夫婦関係の亀裂は大きな事件よりも、日々の「伝え方」で広がっていくことがあります。
今は、裁く言葉ではなく、ほどく言葉を増やす時期なのかもしれません。
放送はこちらから視聴できます
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
人は誰かの悩みや言葉に触れたとき、ふと自分の心が揺れていることに気づくことがあります。
その小さな揺れは、これからの自分を整える大切な“サイン”なのかもしれません。
もし今、胸の奥にそっと抱えている思いがあり、「どこかに話してみようかな」と感じている方がいらっしゃれば、いくつかの相談先をここに置いておきます。
どれが正しいということはありません。
今のあなたに合う形を、静かに選んでいただければ十分です。
◆ テレフォン人生相談に相談してみたい方へ
寄り添って話を聴いてもらいたいとき、人生経験の深い回答者の言葉に触れたいとき──。
テレフォン人生相談は、長い歴史の中で多くの方の迷いを受け止めてきた相談先です。
番組という特性上、相談内容が“広く届けられる形”になることもありますが、その分だけ、そこで得られる言葉には力があります。
◆ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ
テレフォン人生相談のように、限られた時間の中で専門家の言葉を受け取る形が合う方もいれば、
「相談したこと自体が、どこかに伝わってしまうかもしれない」
その不安が先に立って、踏み出せない方もいらっしゃるかもしれません。
このブログでは、そうした気持ちを抱えたままでも選べる、誰にも知られず、心の内をそっと預けられる相談先もまとめています。
無理に利用する必要はありません。
ただ、自分に合う距離感の相談先が他にもあるということを、必要になったときに思い出していただければ十分です。
→ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ
どの道を選んだとしても、それは “自分を大切にした証” だと思います。
またゆっくりとお会いできますように。
──悟(さとる)


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