図々しい同居人で家がゴミ屋敷…弁護士が示す退去の境界線確保術

同居した母娘に家を荒らされ悩む53歳女性と、気にも留めない65歳女性と34歳女性を描いた相談イメージイラスト

テレフォン人生相談 2025年11月12日 水曜日
パーソナリティ: 玉置妙憂
回答者: 大迫恵美子(弁護士)


こんにちは、悟(さとる)です。

本日はテレフォン人生相談から、「親切で部屋を貸した結果、家がゴミ屋敷化してしまい、退去をどう進めるか」というお話です。


人に手を差し伸べたはずなのに、気づけば自分の生活が削られていく。

そういう状況は、外から見れば「早く切ればいい」と言えるのですが、当事者の心の中は案外そう単純ではありません。


今回の相談は、住まいという一番守りたい場所で起きた問題だからこそ、苦しさが際立ちます。

落ち着いて、順序立てて、取り戻していくための考え方を先生方は示されていました。

同居した母娘に家を荒らされ悩む53歳女性と、気にも留めない65歳女性と34歳女性を描いた相談イメージイラスト

■家に入れた「気軽さ」が、引き返せない重さに変わる

相談者は53歳の女性で独身、一人暮らしです。

自宅は本人名義の一軒家で、部屋数も多く、一人で住むには広い住まいでした。

そこへ、職場のパート仲間である65歳の女性と、その娘(34歳前後)が「部屋を貸してほしい」と頼んできたといいます。

相談者は大きな構えもなく、契約書も交わさないまま住まわせることにしました。

猫を飼うことも、最初から了承していたそうです。

生活費の扱いは、光熱費を人数で割って負担し、別に「掃除代」として月7000円を受け取る形でした。

ただし、家賃は取っていません。

ここが後に、法律的な整理にも関わってきます。


■ゴミ屋敷と悪臭――家にいても落ち着けない日々

問題は、住み方でした。

貸した二部屋だけで収まらず、物やゴミが家の外へもはみ出し、いわゆるゴミ屋敷のようになっていったと相談者は語ります。

何度注意しても改善せず、「もうできない人なんだな」と諦めに似た感覚も芽生えていきます。

さらに、家の中に悪臭が漂うこともあり、相談者は自分の家にいながら落ち着けず、精神的に消耗していきました。

それでも心のどこかでは、「汚ささえ治れば、住み続けても構わない」という気持ちが残っていたのが、いっそう苦しさを複雑にしているように見えます。


■決定打は「正直に言わない態度」だった

もう一つ、相談者の心を折った出来事があります。

自宅の車庫で、相手の車が何かにぶつかったらしいのに、本人たちからは正直に申告がなかったことです。

物が不自然に壊れているのを見て、相談者が強く追及したところ、ようやく認めたといいます。

車のバンパーもへこんでいて、相談者としては「間違いない」と感じたそうです。

汚れや散らかりは、価値観や生活習慣の差として我慢してしまう人もいます。

けれど、損傷を隠す、正直に言わない、話が通じない。

ここに触れた瞬間、人は「これ以上一緒に暮らすのは危ない」と直感します。

相談者も「なめられている」と感じ、限界を迎えていました。


■弁護士の整理:これは「賃貸」ではなく「使用貸借」に近い

同居トラブルについて女性弁護士が50代女性に整理して説明している相談シーンのイメージイラスト

回答者の大迫恵美子弁護士は、まず現状を法律の言葉で整理します。

家賃は取っておらず、掃除代として月7000円程度。

これを賃料と見るのは難しく、賃貸借というより「使用貸借」、つまり無償で使わせている貸し借りに近い、という考え方です。

ここでのポイントは、賃貸借だと借り手側の権利が強くなりやすい一方で、使用貸借なら事情によって「出て行ってください」と言いやすい性質がある、という説明でした。

そして結局は、相談者が曖昧な言い方をやめて、はっきり意思表示できるかどうかが分かれ目になる、と示します。


■退去へ進む現実的な手順:期限を決め、書面で渡す

では、具体的にどう進めるのか。

大迫弁護士の提案は、段階としてとても現実的でした。

まず、「いついつまでに明け渡してください」と期限を決めること。

期限は常識的な範囲にするのが大切で、無理な期限を言ってしまうと、守れなかったときに状況がずるずる延びてしまう、と釘を刺します。

目安として2〜3か月程度など、現実に引っ越し準備が可能な期間を置きます。

次に、それを口頭だけで済ませないことです。

書面にして手渡しし、写しを取って残す。

相手が「初めて聞いた」と言い出したときに備え、いつ意思表示をし、いつ相手に届いたかの証拠を残すためです。

曖昧な警告を重ねても相手は麻痺していくので、「今度こうなったら」ではなく、退去を求める意思を明確にする必要がある、と語られます。


■合意が取れないときも、道は一本に絞ってよい

相談者は「念書のような形」を思い浮かべますが、弁護士は、合意して双方で念書を交わせれば一番良いとしつつ、難しい場合は「一方的な通知」として、具体的な出来事を書き、改善されないので貸す気持ちがなくなった、退去期限はいついつまで、と明確に伝える方法を勧めます。

このとき、感情で責める文章ではなく、事実を積み重ねることが肝心です。

汚れが広がったこと、悪臭で生活が成り立たなくなったこと、損傷を隠したことなど、起きたことを淡々と並べ、だから退去を求める、という筋道にします。

相手の性格や態度に議論を持ち込むほど、話は絡まりやすくなります。


■期限が来ても出ていかない場合:次の一手を「準備」しておく

弁護士は、通知しても動きがない場合には、調停を申し立てる、裁判をするなど、裁判所を使う手段へ進むことを示します。

いきなり最終手段に飛ぶのではなく、まず書面で退去を求め、期限を設け、証拠を整え、それでも動かないなら公的な手続きへ、という順序です。

ここまで聞くと冷たく感じる方もいるかもしれません。

でも実際には、こうした手順は「相手を追い詰めるため」だけでなく、相談者自身が後悔や罪悪感で崩れないための、心の手すりにもなります。

筋道があると、人は迷いに飲み込まれにくくなるのです。


■まとめ

今回の相談は、「親切」と「境界線」の間で起きた出来事でした。

人を助けたい気持ちは尊いのに、住まいを侵され、嘘や不誠実さにさらされると、生活の土台そのものが揺らぎます。

大迫弁護士は、状況を使用貸借として整理し、期限設定と書面通知、証拠の確保という順番で退去へ進む道筋を示しました。

悟として思うのは、境界線は「相手を拒む線」ではなく、自分の生活を守るための線でもあるということです。

優しさが裏目に出たとき、優しさを捨てる必要はありません。

ただ、守るべき順序を、少しだけ自分側に戻してあげてください。

あなたが安心して眠れる場所を、あなたの手に取り戻せますように。


放送はこちらから視聴できます

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

人は誰かの悩みや言葉に触れたとき、ふと自分の心が揺れていることに気づくことがあります。

その小さな揺れは、これからの自分を整える大切な“サイン”なのかもしれません。

もし今、胸の奥にそっと抱えている思いがあり、「どこかに話してみようかな」と感じている方がいらっしゃれば、いくつかの相談先をここに置いておきます。

どれが正しいということはありません。

今のあなたに合う形を、静かに選んでいただければ十分です。

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寄り添って話を聴いてもらいたいとき、人生経験の深い回答者の言葉に触れたいとき──。

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無理に利用する必要はありません。


ただ、自分に合う距離感の相談先が他にもあるということを、必要になったときに思い出していただければ十分です。

→ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ


どの道を選んだとしても、それは “自分を大切にした証” だと思います。

またゆっくりとお会いできますように。

──悟(さとる)

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