職場いじめの原因を問う61歳女性の苦悩と年下上司の接し方

テレフォン人生相談 2025年11月10日 月曜日
パーソナリティ: 加藤諦三
回答者: 大原敬子(幼児教育研究)


こんにちは、悟(さとる)です。

本日はテレフォン人生相談から、61歳女性が抱える、20歳年下の男性上司からの継続的ないじめとその原因究明を求める相談です。


11年間続く年下上司からの冷遇

今回お話をされたのは、61歳の女性です。

彼女は48歳の夫と結婚されており、現在の職場で事務のパートとして11年間勤務を続けています。

この長きにわたる勤続の中で、彼女は20歳ほど年下の男性上司からの「いじめ」に悩み続けているといいます。

努力と実績にもかかわらず続く意地悪

相談者が職に就いた当初は、仕事ができないから意地悪をされるのだろうと考えていました。

しかし、彼女は前職の保険会社で25年間事務職を務めており、仕事に対する認識や経験は十分にありました。

現在の仕事は新しい分野ではあるものの、一生懸命に努力を重ね、やがて他の同僚に見劣りしないほど業務をこなせるようになったと自負されています。

にもかかわらず、上司の冷たい態度や意地悪は一向に改善されず、相談者ご自身も困惑されている様子がうかがえました。

相談者だけに向けられる露骨な態度の違い

上司の「いじめ」は、他の社員への態度と比較すると、より際立って相談者だけに向けられていることがわかります。

具体的な事例として、彼女は二つの出来事を挙げられました。

一つ目は、業務に関する質問に対する投げやりな対応です。

彼女はできる限り上司に聞かずに済ませようと努力されていますが、新しい業務でどうしても分からないことが生じ、上司に質問せざるを得ないことがあります。

そうした際、上司は「そんなのは過去のを見て」「こうすればわかるだろう」といった、突き放すような言葉で対応されるといいます。

一方で、この上司は他の同僚に対しては、このような投げやりな態度は一切取らず、きちんと教えているというのです。

二つ目は、公然の場での人格を否定するかのような非難です。

以前、退職される方の後任として仕事の引き継ぎを受けていたときのことです。

彼女が一生懸命に仕事の教えを受けていると、上司が間に入り、「さっきから聞いてると、レベルが低いんだよ」と発言しました。

さらに、「簡単なことだろ!」と強い口調で言われ、相談者はあまりの悲しさに、その日は人目を避けて泣いてしまったといいます。

辞退後の上司の行動にショックを受ける

上司から「レベルが低い」と厳しく言われた翌日、相談者は上司に対し、「申し訳ないが、この仕事の引き継ぎはできません。もっとレベルの高い人に引き継いでほしい」と伝えました。

結果的に、その仕事は別の同僚に引き継がれました。

すると、相談者が深く傷ついた出来事とは対照的に、その上司自身が、新しい担当者に何ヶ月間も手取り足取り時間をかけて丁寧に仕事を教えている光景を目にしたというのです。

この露骨な態度の違いを目の当たりにし、相談者は深く傷つき、上司が他の人にも意地悪なら諦めもつくが、自分にだけ意地悪なのはなぜなのか、「何でなんだろう」という疑問に囚われています。

辞めてしまえば簡単なことかもしれませんが、11年間も勤めてしまった職場を離れられず、ずるずると勤務を続けている状況でした。

過去の経験とのギャップによる自信の喪失

相談者は、今回のコミュニケーションのつまずきを初めての経験だと語られています。

前職の25年間は人に恵まれており、周りには意地の悪い人はいませんでした。

この経験から、「自分は人に恵まれていただけで、周りの人たちが自分の至らない部分をカバーしてくれていたのではないか」と考えるようになりました。

現在の職場で意地悪な態度を受け続けることで、彼女は「自分の中に何か問題があるのではないか」と自問自答を繰り返し、ついには「自分に対するものすごい自信の喪失」に苛まれています。

夫は「そんなに悩むなら辞めてしまえ」と言いますが、彼女の今日の相談の核心は、この20歳年下の上司とのコミュニケーションの失敗の原因、すなわち「いじめの原因を知りたい」という点にあると、加藤諦三パーソナリティは確認されました。


大原敬子氏の静かな助言と解説

相談者の切実な悩みが示された後、加藤パーソナリティより、幼児教育研究の大原敬子先生に回答が委ねられました。

大原氏の回答は、相談者が抱える「いじめの原因を知りたい」という、感情的な問いかけに対し、原因究明に囚われるのではなく、現状をいかに乗り越え、自分自身を立て直すかという視点から展開されています。

専門家の助言の骨子:相手の観察と冷静な対応

大原氏の助言は、「自分の基準ではなく、相手の特性を理解し、冷静に状況に対処することの重要性」に焦点を当てています。

1. 相手への深い観察の必要性

大原氏はまず、相談者が年下の男性上司という「相手」を深く、客観的に観察することができていない可能性を指摘します。

相談者は、上司の態度に傷つき、なぜ自分だけが冷遇されるのかという感情的な疑問に意識が向いています。

しかし、人間関係を円滑に進めるためには、相手の言動や特性、そしてその行動の背景にあるものを、感情を抜きにして分析し、理解することが不可欠です。

相談者が長年の社会経験で培った「自分の基準」や「正しいと思う振る舞い」を一度脇に置き、上司がどのような人間で、どのような特性を持っているのかを静かに見つめ直すことが求められます。

2. 「アタシ基準」から「相手基準」への転換

大原氏が示唆されるのは、相談者が無意識のうちに「アタシ基準」で人間関係を捉えてしまっているという点です。

つまり、「私はこれだけ仕事ができるのに」「私はこんなに頑張っているのに」「他の人に優しくしているのに、私にはなぜ意地悪なのか」という、ご自身の期待や努力を基点として、上司の態度を測ってしまっているということです。

これに対し、大原氏は、上司という「相手」の視点、すなわち「相手基準」に意識を転換することの重要性を説かれます。

相手は20歳年下であり、組織の論理や、世代間の価値観の違い、あるいはその上司固有の人間的な偏りなど、様々な要素で物事を判断しているかもしれません。

相談者にとって納得できない上司の態度も、上司からすれば何らかの理由に基づいています。

その理由が、相談者の能力とは関係のない、「世代間での接し方の違い」や「パーソナリティの相性」といった、変えようのない要素である可能性もあります。

変えられない「相手の特性」や「相性」を嘆くのではなく、それを前提として、いかに「操縦」(=円滑に業務を遂行するための効果的なコミュニケーション)を行うかを考えることが、現状を打破するための鍵となります。

3. 感情を抜きにした実利的な対応

大原氏の助言は、感情的な解決ではなく、実利的な対応を促しています。

相談者は「いじめの原因を知りたい」と願っていますが、その原因がわかったところで、上司の性格が変わるとは限りません。

むしろ、原因がわかっても解決できない苛立ちだけが残るかもしれません。

それよりも大切なのは、「いじめ」という形で現れている職場の摩擦を、どう最小限に抑え、自身の業務を滞りなく進めるかという実務的な目標に焦点を当てることです。

そのためには、上司の態度に傷つく感情を一旦脇に置き、上司という人間を冷静に観察し、その特性に合わせた、「最も摩擦の少ない、効果的な接し方」を戦略的に見つけ出すことが必要となります。

大原氏の静かな助言は、長年の人間関係で培われた自意識から離れ、他者との関係性を新たな視点で見つめ直し、建設的な対応を始めるよう促すものでした。


まとめ

相談内容の締め

今回の相談は、11年間という長い期間、年下の上司からの冷遇に耐え続けた61歳女性の、切実な「なぜ?」という問いかけでした。

長年のキャリアで培った自信を喪失し、自問自答を繰り返す彼女の苦悩は、聞く者の胸を打ちます。

大原氏の助言は、その苦悩に対し、原因究明という「過去」ではなく、「未来の行動」に焦点を当てることの重要性を静かに示しました。

それは、相手の言動に振り回される「感情的な受動態」から脱却し、相手を冷静に観察し対処する「能動的な対応」へと、自らの姿勢を転換させることを求めるものでした。

今回の相談から見えるテーマ

今回の相談は、「職場の人間関係と自己肯定感」という普遍的なテーマを浮き彫りにしています。

私たちは、長く勤めた職場や、成功体験を積んだ人間関係の中で、無意識のうちに「自分の価値観は正しい」「自分は人に恵まれている」という安易な自己肯定感を築き上げがちです。

しかし、新しい環境や、価値観の異なる世代との交流に直面したとき、その土台が揺らぎ、「自分は間違っているのではないか」という自己否定へと転じる危険性を常に抱えています。

この相談から浮かび上がる一般的な視点は、「変えられることと、変えられないことの峻別」の重要性です。

他人の性格や、自分に対する好悪の感情を変えることは極めて困難であり、そこに注力しても疲弊するだけです。

むしろ、変えられない現実を受け入れた上で、自分自身の考え方、行動、そして「相手に対する接し方」を変えることこそが、困難な状況を乗り越えるための現実的かつ建設的なアプローチとなります。

そして、今回の相談者が11年間「辞めずにズルズル」といる状況は、人間が変化を恐れ、慣れた環境に留まろうとする心理的な傾向を示しています。

この状況を打破するためには、夫が示したように「辞める」という大きな変化を選ぶか、あるいは大原氏が示したように「接し方を変える」という意識の大きな転換を選ぶか、いずれにせよ、相談者自身の主体的な決断が求められることになります。


放送はこちらから視聴できます

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

人は誰かの悩みや言葉に触れたとき、ふと自分の心が揺れていることに気づくことがあります。

その小さな揺れは、これからの自分を整える大切な“サイン”なのかもしれません。

もし今、胸の奥にそっと抱えている思いがあり、「どこかに話してみようかな」と感じている方がいらっしゃれば、いくつかの相談先をここに置いておきます。

どれが正しいということはありません。

今のあなたに合う形を、静かに選んでいただければ十分です。

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どの道を選んだとしても、それは “自分を大切にした証” だと思います。

またゆっくりとお会いできますように。

──悟(さとる)

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