不当解雇か否か? 会社との関係性が問い直された法律相談

📅 2025年11月8日(土)
🎙️ パーソナリティ:加藤諦三
⚖️ 回答者:坂井眞(弁護士)


こんにちは、悟(さとる)です。

本日はテレフォン人生相談から、会社に「もう来なくてよい」と言われたことを巡る相談を取り上げます。

相談者の方は、かつて勤めていた会社を退職するに至った経緯が不当な解雇に当たるのではないかと悩んでおられました。

わたし達も一緒にこの相談内容と、法律専門家である坂井先生の助言を丁寧に見ていきましょう。


相談の背景:54歳・独身の女性が抱えた違和感

相談者は54歳の女性で、14年ほど前に離婚を経験し現在は独身であるとご自身について語られました。

相談の核心は、自身が「不当解雇」と思っている出来事にありました。

相談者は前職において「職務はきちんと果たしていた」と信じており、会社側から「もう来なくてよい」と言われたことを不当だと感じています。

しかし相談を進めるうち、その表現にはいくつかの解釈の幅があることが浮かび上がってきました

一見すると単純に会社が一方的に切り捨てたようにも聞こえますが、実際には労働環境や周囲とのコミュニケーションが複雑に絡む事例であったのです。

まずは相談者がどのような状況に置かれていたのかを詳しくお伝えいたします。


職場での立場と周囲との関係性

相談者は以前、ある会社に勤めていました。

その後、同系列の別会社へ移るように言われたとのことでした。

移動先では元々いた社員たちから嫌がらせに近い扱いを受けたり、相談者への評判が上司に伝わっていたりしたことが影響し、人間関係が徐々に困難になっていったといいます。

ご本人は自身の言動について「普通に業務をこなしていた」「特別悪意のある言い方はしていない」と述べましたが、周囲からは「圧がある」「強い言葉遣いをする」と受け取られていた可能性が示されます。

こうしたズレが、職場の評価や人間関係に影響を及ぼしたと考えられていました。

そして相談者は、こうした状況の中で会社側から退職のような形で扱われたことを「不当解雇」とみなして悩んでいらっしゃったのです。


「不当解雇」とは何か? 法的な視点からの整理

ここで弁護士の坂井眞先生が相談者の話を受けて、法律面からの見解を示されます。

まず前提として、労働法上の「解雇」とは会社が社員との雇用契約を一方的に終了させる行為であり、労働基準法等で定められた要件が満たされているかどうかが判断材料になります。

本件では相談者が「解雇だ」と考えている出来事は、実際には会社側が明確な解雇通告書や法的な手続きを示したものではないように見受けられます。

会社が「来なくてよい」と言ったという表現のみでは、法的な解雇と断定するには不十分であることが指摘されました。

弁護士の坂井先生は、会社側がどのような根拠で雇用関係を終了させたのか、また退職届を求めたのかどうかなどの点を確認する必要性を強調されています。

労働契約法や労働基準法では正当な理由なく労働者を解雇することを禁止しており、それには具体的な事実関係の整理が求められます

したがってこのケースでは、「不当解雇」とみなせるかどうかは、ただ単に「会社がそう言った」という事実だけで決められるものではなく、より詳細な証拠や手続きの有無を確認する必要があるとの助言がありました。


相談者の認識と現実のズレ

相談者は自身の行動や言葉について「普通」と捉えておられましたが、それが周囲にどのように受け止められていたかについては別の側面がありました。

周りの社員が「圧がある」「強い」という評価をしていた背景には、相談者の伝え方や関係性の築き方にズレがあった可能性が考えられます。

人間関係は一方通行では成立しません。

たとえ業務能力が高くても、職場でのコミュニケーションや信頼関係が十分に築かれていない場合、評価に影響が出ることは少なくありません。

また、仮に嫌がらせや誤解があったとしても、それをどう証明し、立証していくかが問題になります。

こうした点を弁護士の立場から整理していくことで、相談者の置かれた状況を客観視することが求められました。


法的な次のステップ:相談窓口と証拠の整理

坂井先生は、今回のような労働問題については労働基準監督署や無料法律相談窓口での相談を検討することを勧められました。

労働問題は感情論だけで片付けられるものではなく、具体的な証拠や手続きを伴った整理が重要です。

例えば、会社からどのような言葉で退職を促されたのか、退職届を書かされたかどうか、雇用契約書にどのような条項があるか、同僚や上司とのやり取りの記録はあるかなど、細かい事実関係を時系列で整理する必要があります

そうした整理こそが、法的な主張を形にしていく第一歩となります。

また、専門家のアドバイスを受けるにあたっては、自分自身の主張だけでなく、具体的な状況や証拠を丁寧に伝えることが不可欠であることが示唆されました。


まとめ

今回の相談から見えてきたのは、一見すると法律的な問題に見える出来事であっても、その背景には職場での関係性や伝え方、評価のズレが複雑に影響しているという点です。

相談者は自身の立場や行動に正当性を感じておられましたが、それが必ずしも第三者の目から見て同じように評価されるとは限りませんでした。

専門家である弁護士の助言は、単純な答えを示すものではなく、事実関係を整理し、法的な根拠を明らかにしていくための指針を与えるものでした。

この相談は、労働問題に直面する際に感情を交えず整理することの重要性を改めて教えてくれます。


放送はこちらから視聴できます

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

人は誰かの悩みや言葉に触れたとき、ふと自分の心が揺れていることに気づくことがあります。

その小さな揺れは、これからの自分を整える大切な“サイン”なのかもしれません。

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どの道を選んだとしても、それは “自分を大切にした証” だと思います。

またゆっくりとお会いできますように。

──悟(さとる)

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