テレフォン人生相談 2025年11月5日 水曜日
パーソナリティ: 玉置妙憂
回答者: 森田豊(医師で医療ジャーナリスト)

こんにちは、悟(さとる)です。
本日はテレフォン人生相談から、長いあいだ体調不良と心の不安を抱え、外に出られない生活が続いている男性の相談です。
幼いころから病気がちで、その影響で思うように働けず、現在は母との二人暮らし。将来への不安や、人と比べてしまう気持ちに揺れながら、「どうすれば自信と覚悟を持って生きられるのか」を丁寧に語られました。
病気や環境が変えにくい状況の中で、心をどう保ち、どんな視点で日々を積み重ねていけばよいのか。
そんな深いテーマが静かに浮かび上がる回です。
・体の弱さと長い引きこもりが生んだ不安
相談者は39歳の男性で、母と二人で暮らしています。
父は25年前に病気で亡くなり、兄弟もいません。
生活は、障害年金と過去の貯金の取り崩し、そして母のパート収入で支えられているとのことでした。

幼いころから体が弱く、入退院を繰り返してきた経験があります。
中学生のときに目の病気を発症し、その後は緑内障の発作を繰り返すようになり、右目はほとんど見えない状態になっているそうです。
その影響もあり、新卒での就職が難しく、体調を見ながらアルバイトや派遣で働く時期を過ごしてきました。
しかし10年ほど前、持病の悪化とともにパニック発作が強く出始め、電車やバスに乗れない、集団の中にいると息苦しくなるといった症状が続きました。
救急車で搬送されることも重なり、外出が怖くなって仕事も途切れ、現在まで無職で引きこもりがちになっていると言います。
本人が一番苦しいのは、病気そのものだけではありません。
検査の結果や体調の変化に触れるたび、「これからどうなるのだろう」「母と二人で暮らしていけるのか」と考え、眠れなくなるほど不安に押しつぶされてしまう。
そうした不安が長く続くなかで、気づけば周囲の人と自分を比べ、「どうして自分だけこんな人生なのか」と落ち込むことが増えていったそうです。
・相談者の強さをまず言葉にした森田豊の見立て
回答者の森田豊先生は、相談者の話し方から受ける印象を丁寧に伝えました。
今のやり取りの範囲では深い抑うつ状態には見えず、むしろ思考が整理され、自己分析もできていることがうかがえると述べます。
理路整然と話せる力、物事を客観視する力を備えているからこそ、先のことを考え過ぎて不安に引き込まれやすいのではないか、という見立てでした。

相談者は、母も気分が沈みがちで、二人でいるとネガティブな考えに巻き込まれてしまう日があると打ち明けます。
森田先生はその状況を受け止めたうえで、ここから少しでも楽になれるための具体的な工夫を、順を追って示していきました。
・「人と比べず、過去の自分と比べる」という視点
森田先生が最初に伝えたのは、比較の向け先を変えるという話です。
人はどうしても他人と比べてしまうが、そこで落ち込んでも状況は変わりにくい。
比べるなら、他人ではなく過去の自分に向けてみるのはどうか、と提案します。
たとえば「以前はできなかったことが今日は少しできた」「あのときの苦しさと比べれば今は一歩進めている」と捉えることで、小さな前進を実感しやすくなる。

そうした実感が積み重なると、未来への見通しもわずかに明るくなる可能性があると説明しました。
相談者は、過去を思い出すとネガティブになりやすいと返しますが、森田先生は「後ろを向きたくなるのは自然なこと」と認めつつ、過去の後悔や「なぜ自分が病気なのか」という思いが浮かんできたら、いったん手放す練習をすることが大切だと語ります。
過去に囚われないように努力する、その姿勢自体が回復の力になるという考え方です。
・完璧主義をゆるめ、60〜70点で暮らしてみる
続いて森田先生は、相談者の中にある「失敗を取り返さなければならない」という思いに触れます。
うつを抱える人には、何事も完璧にこなそうとする傾向があり、それが自分を追い詰めてしまうことがある。
だからこそ、最初から満点を目指すのではなく、60点、70点でも「よし」とできる感覚を持つほうが、心を守りやすいと説明します。
相談者にとっては簡単ではない提案でしたが、森田は「できる範囲でいい」「完璧にできなくても生活は続く」という現実に目を向けることが、前に進むための足場になると静かに言葉を重ねました。
・病気と無関係な「ワクワク」を生活に置く
さらに森田先生は、日々の時間の使い方に視点を移します。
病院に行く時間だけでは一日が埋まるわけではなく、何もしない時間が長いと、意識が病気や過去に偏りやすい。
そこで、持病とは関係のない楽しみや習慣、趣味のようなものを意識して探し、生活の中へ少しずつ置いていくのがよいのではないかと勧めました。

大事なのは、遠い将来を一気に変えようとすることではなく、明日、来週、来月といった近い未来に向けて「やってみたい」と思える小さな目標を作ること。
その目標が、心に少しでもワクワクを生み、病気のことをいったん忘れられる瞬間を増やしてくれるかもしれないという理屈です。
相談者は、今回電話をしたこと自体が自分にとっての「足がかり」になり得ると感じていたと話します。
行動が難しい日々の中でも、何か新しいことを始めたいという気持ちが芽生え始めている。
森田はその姿勢を肯定し、深く落ち込み切っているなら電話はできなかったはずで、今こうして相談できた時点で問題の多くは自分の力で動かせるところまで来ているのではないか、と背中を押しました。
・まとめ
今回の相談で浮かび上がったテーマは、病気や環境が変えにくい状況の中で、どのように自分の人生と折り合いをつけ、前へ進む感覚を取り戻していくかという点でした。
森田豊の助言は、焦って大きな答えを求めるのではなく、比較の向け先を「他人」から「過去の自分」へ移し、完璧を求め過ぎない毎日を積み重ねることにありました。
さらに、病気とは別の軸で心が動くものを生活に取り入れることで、未来の不安に飲み込まれにくい土台を作ろうとする提案でもありました。

体の不調や不安があると、視線はどうしても内側や過去に向きがちです。
けれど、ほんの小さな前進でも拾い上げ、近い未来に目を向け直すことができれば、人生の重さは少しずつ変わっていくのかもしれません。
放送はこちらから視聴できます
今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
人生に正解はありませんが 、誰かの悩みを知ることで、自分の心が少し楽になったり、新しい考え方に気づけることもあります。
このブログが、読んでくださった方の「明日を生きるヒント」になれば幸いです。
またぜひ遊びに来てくださいね。
以上、悟(さとる)でした。


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