テレフォン人生相談 2025年11月25日 火曜日
パーソナリティ:今井通子
回答者:樺沢紫苑(精神科医)

こんにちは、悟(さとる)です。
本日はテレフォン人生相談から、一人暮らしの孤独と結婚願望、そして「なぜか資産管理されている」という不安が重なって、心が暗い方向へ傾いてしまう男性の相談です。
恋愛や結婚の話題は目立ちますが、今回じわじわ響いていたのは、暮らしの足場が揺れたときの孤独です。
人は苦しくなるほど、早く答えを出したくなります。
けれど答えを急ぐほど、気持ちは置き去りになってしまうこともある。
今井通子さんと樺沢紫苑先生は、その順番を丁寧に整えていきました。
■孤独の始まり──母が施設に入った日から
相談者は58歳の独身男性で、一人っ子です。
父は12年前に亡くなり、母は91歳。母は2年前から施設に入っています。
きっかけは認知症でした。
相談者が語った母の変化は、いわゆる「物忘れ」だけではありません。
症状が進む中で暴力的な場面が出てきて、外へ出てしまうことがあり、包丁を持って追いかけてきたことさえあったと言います。
こうした出来事は、家族にとって恐怖そのものです。
ただ、それ以上に苦しいのは、相手が母であるという事実です。
怒りたいのに怒れない。助けたいのに近づけない。
本人の中で感情の置き場がなくなっていきます。
結局、相談者は仕事を休まざるを得なくなり、ケアマネジャーに相談し、施設入所へつながりました。
同居が解けた瞬間から、部屋は静かになります。
しかしそれは、心が落ち着く静けさではなく、危機を越えた後に突然現れる空白です。
暮らしの音が消えたとき、心の中で「ひとり」が現実味を帯びます。
そこから相談者の思考は、少しずつ暗い方へ滑っていきました。
■「暗い方向へ考えてしまう」気持ちの正体
今井通子さんが状況を確認していく中で、相談者は「早く楽になりたい」と口にします。
はっきりとした表現でなくても、心が限界に近いことを示す言葉として、軽く扱えない響きがあります。
さらに相談者は、学生時代のいじめの経験も語りました。
小学校3年から中学にかけて学校へ行けなかった時期がある。
けれど中学、高校を卒業し、大学も4年間通って卒業しています。
ここには、粘り強さと同時に「無理をしてでも形にしてきた」歴史も感じられます。
過去の痛みは、普段は奥にしまわれています。
ところが孤独が濃くなると、昔の記憶が現在の不安と結びつき、「自分は人とうまくやれない」という結論だけが先に出てしまうことがあります。
そうなると、行動は止まり、止まった時間がまた自己評価を下げる。
相談者の「暗い方向へ」という言葉は、気分の問題だけではなく、生活の孤立が作り出す循環の中にありました。
■結婚相談所に電話したのに、踏み出せなかった理由
相談者は「相談相手がほしい」と話します。
今井通子さんが尋ねると、その延長に「お嫁さんがいないかな」という結婚への希望があることが見えてきます。
ただ、これまで出会いはほとんどなく、仕事中心で過ごしてきたとも言います。
結婚相談所に電話したことは何度かあるものの、費用が気になって踏み切れなかった。
ここまでは一般的な迷いにも見えますが、相談者は続けて「断りなさいと言われた」と語り、その相手が弁護士であることが出てきます。
踏み出せない理由が「お金」だけなら、比較や検討で前へ進める可能性があります。
けれど今回は、それ以前に「自分で決める感覚」そのものが弱っている印象が残りました。
止められたら引き返す。許可がなければ進めない。
孤独が長いと、判断の責任を背負う力が細っていきます。
結婚という大きな選択が、希望であると同時に恐怖にもなる。
相談者の足が止まったのは、その二重の重さだったのかもしれません。
■「なぜか資産管理されている」という違和感
相談者は、弁護士が資産管理をしていると受け取れる話もします。
この点が大きな不安になっている一方で、本人の中で状況が整理できていない様子もありました。
制度や契約の仕組みは、元気なときでも難しいものです。
母の施設入所、休職、手術の予定、今後の生活への不安。
そうした負荷が重なると、説明を聞いても頭に入らず、「自分が支配されている」という感覚だけが残ります。
ここで必要なのは、相談者の不安を否定せず、理解の形へ戻すことです。
何が誰のための手続きで、どこまでが対象なのか。
言葉を噛み砕いて確認できれば、気持ちは少し落ち着きます。
今井通子さんは、混乱を責めずに言葉にさせ、次の整理へ橋をかけていきました。
■樺沢紫苑先生の助言──結婚の前に整える順番
樺沢紫苑先生は、結婚願望そのものを笑ったり否定したりするのではなく、「今それを主目標にすると、かえって苦しくなる」という方向で見立てていました。
結婚は、手に入れれば孤独が消える魔法ではなく、生活の安定と人間関係の積み重ねの上に成り立つものです。
相談者は腰の手術を控え、休職中で、活動量も落ちています。
この状態で「結婚できない自分」を責め始めると、心はさらに沈みます。だから先生は、回復と生活の立て直しに意識を戻すことを促しました。
また、相談者の話しぶりからは、人との関わりが長く細ってきた様子がうかがえます。
出会いを作る行動をほとんどしてこなかったこと、相談所に電話しても足が止まること。
ここに必要なのは、いきなり配偶者を探すことではなく、日常の中で会話と接点を増やし、社会の手触りを取り戻すことです。
結婚はゴールではなく、整った生活の延長で起きる出来事です。
先生の助言は、その順番を静かに示していました。
■生活を立て直す処方箋は、冷たさではなく安全策
「まず生活を整える」と言われると、「結局ひとりで頑張れということか」と感じてしまうことがあります。
けれど今回の助言は、孤独を放置する提案ではありません。
むしろ、孤独を薄めるために、大きな賭けをさせないという配慮がありました。
心が弱っているときに婚活のような結果の出にくい勝負へ入ると、失敗体験が重なり、自尊心が削られやすくなります。
そうなると回復は遅れます。
だからこそ、体を治し、生活リズムを整え、仕事に戻る準備をし、外へ出る力を取り戻す。
その上で交流を増やしていく、という道筋になります。
人は、誰か一人に救われる前に、いくつかの「弱いつながり」に支えられて持ち直すことが多いものです。
挨拶ができる場所、少し話せる相手、通う理由がある場所。
そうした小さな接点が増えるほど、孤独は薄まり、判断する力も戻っていきます。

■資産管理の不安は「理解できる形」に直すところから
弁護士と資産管理の話が、もし母の成年後見などに関係しているのであれば、相談者の生活とお金のどこまでが対象なのか、どの手続きが誰のためのものなのかを確認する必要があります。
不安は、曖昧な情報が頭の中で膨らむことで育ちます。
だから、難しい言葉を「自分が理解できる言い方」に直してもらう。
書面があるなら目的と範囲を確認する。そうして輪郭が見えれば、「奪われている」という感覚は和らぎます。
理解できる形になって初めて、次の判断ができます。
婚活をするのか、生活を立て直すのか、働き方をどうするのか。
焦りの中で選ぶより、見取り図を作ってから選ぶほうが、選択は静かになります。
■まとめ:孤独を埋めるのではなく、孤独が薄まる暮らしへ
今回の相談は「結婚したい」という願いが前面にありましたが、その奥には、母の認知症と施設入所によって突然始まった独居、休職と手術による生活の揺れ、そして「自分で決める力」の弱まりが重なっていました。
今井通子さんは背景をほどき、樺沢紫苑先生は結論を急がず、整える順番を示しました。
孤独は一気に埋めるものではなく、日々の接点の増加で薄まっていくものです。
僕は、孤独そのものを悪者にしなくていいと思っています。
ただ、孤独が長く続くと考えは偏りやすい。
だからこそ、体を治し、暮らしを整え、外へ出る理由を作り、話せる相手を少しずつ増やす。
その積み重ねが、気づけば「暗い方向へしか行けない」と思い込んでいた道を、静かに広げてくれるのだと思います。
放送はこちらから視聴できます
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
人は誰かの悩みや言葉に触れたとき、ふと自分の心が揺れていることに気づくことがあります。
その小さな揺れは、これからの自分を整える大切な“サイン”なのかもしれません。
もし今、胸の奥にそっと抱えている思いがあり、「どこかに話してみようかな」と感じている方がいらっしゃれば、いくつかの相談先をここに置いておきます。
どれが正しいということはありません。
今のあなたに合う形を、静かに選んでいただければ十分です。
◆ テレフォン人生相談に相談してみたい方へ
寄り添って話を聴いてもらいたいとき、人生経験の深い回答者の言葉に触れたいとき──
テレフォン人生相談は、長い歴史の中で多くの方の迷いを受け止めてきた相談先です。
番組という特性上、相談内容が“広く届けられる形”になることもありますが、その分だけ、そこで得られる言葉には力があります。
◆ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ
テレフォン人生相談のように、限られた時間の中で専門家の言葉を受け取る形が合う方もいれば、
「相談したこと自体が、どこかに伝わってしまうかもしれない」
その不安が先に立って、踏み出せない方もいらっしゃるかもしれません。
このブログでは、そうした気持ちを抱えたままでも選べる、誰にも知られず、心の内をそっと預けられる相談先もまとめています。
無理に利用する必要はありません。
ただ、自分に合う距離感の相談先が他にもあるということを、必要になったときに思い出していただければ十分です。
▶︎ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ
◆ 言葉にしきれない思いを、静かに整理したいときに
誰かに直接相談するほどではないけれど、頭の中や胸の奥に、まだ整理しきれていない思いが残っている──そんなときもあるかもしれません。
「何が不安なのか」「どこで引っかかっているのか」それをはっきりさせるだけで、気持ちが少し落ち着くこともあります。
最近は、名前を明かさず、顔も出さず、今の状況や気持ちを言葉にするだけで、第三者の視点を受け取れるサービスもあります。
答えを決めてもらうためではなく、自分の気持ちを整理する“きっかけ”として、こうした選択肢があることも、そっと置いておきます。
どの道を選んだとしても、それは “自分を大切にした証” だと思います。
またゆっくりとお会いできますように。
──悟(さとる)


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