テレフォン人生相談 2025年11月20日 木曜日
パーソナリティ: 柴田理恵
回答者: 塩谷崇之(弁護士)

こんにちは、悟(さとる)です。
本日はテレフォン人生相談から、精神疾患を抱える母が、離れて暮らす息子に連絡を重ねてしまい、子離れの仕方に悩むお話です。
「もう大人なのに、手放せない」。
頭ではわかっているのに、心が追いつかないことがあります。
今回の相談は、その苦しさがとても静かに、しかし切実に伝わってきました。
■息子は29歳、それでも母の時間は止まっている
相談者は54歳の女性。
現在は再婚しているものの別居中で、別居の理由はDVだと言います。
生活自体は何とか回っている一方で、胸の奥に残り続けているのが、前の夫との間に授かった息子の存在でした。
息子は29歳。立派な大人です。
けれど相談者の中では、息子の時間が「昔のまま」止まってしまっている感覚があるようでした。
息子が2歳のとき、相談者は精神的な不調を抱えます。
前の夫からのDVや不倫も重なり、家庭は壊れていきました。
そして息子とは3歳で生き別れになります。
「育てられなかった」という言葉には、事情の説明以上に、当時の限界と後悔がにじみます。
その後、面会を続けた時期もあったようです。
小学校5年生ごろまで、一定の頻度で会っていたと話します。
けれどやがて会えなくなり、高校1年生の夏に息子から電話があり、家出同然で頼ってきたことがあった。
相談者が涙声になる場面は、親子の関係が「完全に終わった」のではなく、どこかで強く結び目が残っていることを感じさせました。
■不安になると送ってしまう、そして返事が途絶える
相談者が苦しんでいるのは、「連絡しないほうがいい」とわかっているのに、心が折れると息子にメッセージや電話をしてしまうことでした。
不安が強くなると、息子のところへ気持ちが流れ込んでしまう。
最初のころは返信があったのに、近年はほとんど反応がない。
それでも、こちらから一方的に送ってしまうと言います。
決定的だったのは1年半ほど前。
生命保険の満期金100万円とともに、「真実の手紙」を送ったと相談者は語りました。
心臓の病気ではなく、実は精神疾患で育てられなかった、なぜ父親と別れたのか、なぜ自分がこうなったのか。
説明したい気持ちと、理解してほしい気持ちが重なったのだと思います。
けれどその後、息子からの返事はさらに来なくなった。
相談者自身も「息子を私物化していた」と表現し、取り返しのつかないことをしたのではないかと恐れています。
診断名としては躁うつ病、統合失調症、パニック障害を挙げています。
不安定になると、息子に「保護者になってほしい」と思ってしまう。
しかし主治医からは、一人に負担を背負わせる形は違うと言われたとも話します。
頭では理解しているのに、心の避難先が息子に向いてしまう。
その矛盾が、相談者をいちばん疲れさせているように見えました。
■塩谷先生の整理:息子はもう別の人生を生きている
塩谷先生はまず、息子のこと以外の生活が成り立っているかを確認しながら、相談の焦点をはっきりさせていきます。
相談者が本当は「送らないほうがいい」と思っている点を丁寧に拾い、なぜそれでも送ってしまうのかを見つめ直していきました。
印象的なのは、息子の現在を具体的に想像したところです。
29歳なら結婚して家庭があるかもしれない。
仕事も人間関係も変化の中にある。
青年期から大人へと「一皮むける」過程を経て、息子は息子の生活を築いているはずだ、と。
ここで先生が伝えたいのは、過去の親子の物語を否定することではなく、「今の息子は、今の息子として生きている」という事実でした。
そのうえで先生は、相談者からのメッセージが息子にとって重荷になっている可能性に触れます。
息子にも悩みがあり、そこへ久しく会っていない母から依存される形になれば支えきれない。
結果として共倒れになり得る。
相談者の「頼りたい気持ち」は理解しつつも、頼る方向を誤ると、関係そのものが切られてしまう危険があると見立てました。
そして先生は、息子から連絡が来たときには温かく迎える。
その一方で、母の側から寄りかかるような連絡は控える、という線引きを示します。
さらに頼る先は、行政や福祉など、専門的に対応できる場所、そして主治医の指導へと移していくべきだと勧めました。
息子を「支えの柱」にしない。
支えは、支えるために設計された場所へ置く。
その発想の転換が、先生の言う処方箋だったように思います。

■「ぐっとこらえる」ことが、関係を守ることになる
後半、塩谷先生はさらに踏み込みます。
幼い頃に別れたからこそ、相談者の中で「私物化したい」気持ちが強くなるのかもしれない、と理解を示しつつ、29歳という年齢を考えれば、親離れしているのが自然だと語ります。
相談者自身も「親がうざったい年頃で」と応じ、現実感が戻る瞬間がありました。
先生は「ぐっとこらえて」と繰り返し、遠くから見守る姿勢を勧めます。
もしここで頼り続ければ、息子は完全にシャットアウトするかもしれない。
だから、息子が何かアプローチしてきたときに優しく迎え入れる関係を残すために、母の側が耐える必要がある、と。
これは冷たい突き放しではなく、長く続く関係を壊さないための守り方でした。
そして最後に柴田理恵さんも、塩谷先生と同じ考えだと伝えます。
遠くで見てあげることこそが親の愛ではないか。
自分の思いを我慢して、あえて連絡を取らない。
息子は自分でやっていけると「ちゃんと思ってあげる」。
苦しくなったら医師に話し、不安を言葉にして整えていく。
相談者は「わかりました」と答え、電話は静かに終わりました。
■まとめ:子離れは、関係を断つことではなく支えを移すこと
今回の相談は、親子の情が強いほど、境界線が曖昧になりやすいことを示していました。
息子を大切に思う気持ちと、頼りたい気持ちは、同じ場所から生まれることがあります。
けれど支えを一人に集中させると、相手の人生を圧迫し、結果的に関係を壊してしまう。
塩谷先生が示したのは、息子を見捨てるのではなく、息子を「支える役」に置かないという整理でした。
悟として思うのは、子離れが難しいときほど、「連絡しない」だけを根性論にしないことです。
頼れる仕組みや人に先に手を伸ばして、心の避難先を増やしていく。
その上で、息子からの連絡が来たときに、穏やかに受け取れる自分を整えておく。
そうやって距離を保つことが、時間をかけて親子の余白を守るのだと思います。
放送はこちらから視聴できます
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
人は誰かの悩みや言葉に触れたとき、ふと自分の心が揺れていることに気づくことがあります。
その小さな揺れは、これからの自分を整える大切な“サイン”なのかもしれません。
もし今、胸の奥にそっと抱えている思いがあり、「どこかに話してみようかな」と感じている方がいらっしゃれば、いくつかの相談先をここに置いておきます。
どれが正しいということはありません。
今のあなたに合う形を、静かに選んでいただければ十分です。
◆ テレフォン人生相談に相談してみたい方へ
寄り添って話を聴いてもらいたいとき、人生経験の深い回答者の言葉に触れたいとき──。
テレフォン人生相談は、長い歴史の中で多くの方の迷いを受け止めてきた相談先です。
番組という特性上、相談内容が“広く届けられる形”になることもありますが、その分だけ、そこで得られる言葉には力があります。
◆ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ
テレフォン人生相談のように、限られた時間の中で専門家の言葉を受け取る形が合う方もいれば、
「相談したこと自体が、どこかに伝わってしまうかもしれない」
その不安が先に立って、踏み出せない方もいらっしゃるかもしれません。
このブログでは、そうした気持ちを抱えたままでも選べる、誰にも知られず、心の内をそっと預けられる相談先もまとめています。
無理に利用する必要はありません。
ただ、自分に合う距離感の相談先が他にもあるということを、必要になったときに思い出していただければ十分です。
▶︎ 誰にも知られず、心を預けられる相談先を探しているあなたへ
◆ 言葉にしきれない思いを、静かに整理したいときに
誰かに直接相談するほどではないけれど、頭の中や胸の奥に、まだ整理しきれていない思いが残っている──そんなときもあるかもしれません。
「何が不安なのか」「どこで引っかかっているのか」それをはっきりさせるだけで、気持ちが少し落ち着くこともあります。
最近は、名前を明かさず、顔も出さず、今の状況や気持ちを言葉にするだけで、第三者の視点を受け取れるサービスもあります。
答えを決めてもらうためではなく、自分の気持ちを整理する“きっかけ”として、こうした選択肢があることも、そっと置いておきます。
どの道を選んだとしても、それは “自分を大切にした証” だと思います。
またゆっくりとお会いできますように。
──悟(さとる)


コメント