テレフォン人生相談 2025年11月1日(土)
パーソナリティ:今井通子
回答者:塩谷崇之(弁護士)

こんにちは、悟(さとる)です。
今日のご相談は、「妹が別人のように変わってしまった」という60歳の女性から。
かつては仲の良かった姉妹が、ある出来事をきっかけに断絶してしまい、何年も言葉を交わさないまま年月が過ぎているそうです。
家族というのは近しい存在だからこそ、心のすれ違いが深くなったとき、修復は簡単ではありません。
この回では、姉としてのやるせなさと、妹の変化を受け入れられない苦しみが語られます。
そして弁護士の塩谷さんは、冷静かつ誠実に「いま、何を考えるべきか」を整理してくださいました。
それでは、姉妹の間に生じた“長い沈黙”と、そこに潜む思いを一緒にたどってみましょう。
妹が変わってしまった──姉の戸惑いと悲しみ
相談者の女性は60歳。
独身で、すでに両親は他界しています。
妹は1歳年下の59歳。
同じく独身で、今は別々に暮らしているそうです。

もともと姉妹の仲は良く、高校生のころまでは何でも話し合う関係でした。
けれど、妹が大学に進学し、一人暮らしを始めたあたりから、少しずつその関係に変化が現れます。
妹はまるで“別人”のように姉に冷たくなり、次第に軽蔑するような態度を取るようになったといいます。
姉としては理由がわからず、なぜあの妹がこんなにも変わってしまったのか、今でも理解できずにいるのです。
父親の反対と恋人の死──悲劇が姉妹を引き裂いた
姉妹の関係を決定的に変えたのは、妹が40歳のころの出来事でした。
当時、妹には12歳年下の鍼灸師の恋人がいました。
彼との結婚を強く望んでいたものの、父親が年齢差や相手の職業を理由に猛反対。
妹は父親を説得しようとしましたが、結局結婚は叶いませんでした。
その後、妹は恋人と同棲を続けていましたが、男性が統合失調症を患い、自ら命を絶ってしまったのです。
この悲しい出来事を境に、妹は「父と姉が彼を殺した」と思い込むようになり、姉妹の関係は完全に断絶してしまいました。
以来、妹からの連絡は途絶え、誕生日や年末にも一切音沙汰がなくなったといいます。

姉は「せめて“元気?”と声を掛け合える関係に戻れないだろうか」と願いながらも、どう向き合えばいいのかわからずにいました。
塩谷弁護士の見解:他人の「心の変化」を理解しようとすることの限界
塩谷崇之弁護士は、まず「妹さんがなぜ変わってしまったのか」という質問に対し、次のように語りました。
「妹さんが変わった理由を、姉であるあなたが特定するのは難しいでしょう。
人の心の変化は、その人自身しか本当のところはわからないものです。」
たしかに、大学進学や一人暮らしといった環境の変化は、一人の人間を大きく成長させる契機でもあります。
それと同時に、自立の過程で“家族との関係性”を見直すきっかけにもなります。
もしかすると妹は、家族の影響から離れたいという思いを強くしたのかもしれません。
または、過去の恋愛や喪失を通して、姉や父に対して複雑な感情を抱いてしまったのかもしれません。
塩谷さんは、「原因を外側から探るよりも、妹さんの変化を“理解できないこと”として受け止めることが、いま最も大切」と指摘します。
「仲直りしたい」よりも大切なのは、自分の心を守ること
相談者は「せめて“元気?”と声を掛け合いたい」と願っていました。
けれど、塩谷さんは「仲直り」という形にこだわりすぎないようにと諭します。
「妹さんがあなたを拒絶している状況で、関係を修復しようとしても、必ずしも実を結ぶとは限りません。
無理に連絡を取ろうとすることが、かえって傷を深くする場合もあります。」
つまり、“良い関係に戻る”という結果を求める前に、自分の心を整えることが大切なのです。
姉としてできるのは、「いまの関係を受け入れた上で、自分がどう生きていくか」を見つめ直すこと。
妹が連絡を拒んでいるなら、その意思を尊重する勇気も必要です。

家族であっても、相手の心に踏み込むことには限界があります。
姉妹関係を整理するということ──“距離を置く”のも優しさ
家族関係は、他人よりも複雑です。
愛情もあれば、嫉妬もあり、期待も裏切りもある。
だからこそ、姉妹という関係において「距離を取る」という選択は、決して冷たいものではありません。
塩谷さんの言葉は、姉の気持ちを否定するものではなく、「姉自身がどう在りたいか」を見つめ直す提案でした。
「妹との関係を取り戻すことに執着せず、いま自分がどういう生き方をしたいのかを整理してみてください。
そのうえで、連絡を取るのか、それとも静かに見守るのかを決めていけばいいと思います。」
“相手を変えること”ではなく、“自分の考え方を整えること”。
それが、長年のわだかまりから解放されるための第一歩なのです。
まとめ
今回の相談を通して浮かび上がったのは、「血のつながりがあるからこそ、分かり合えない苦しみ」でした。
姉妹というのは、同じ家で育ち、似た人生を歩んできた存在。
だからこそ、片方が変わると、もう片方は置き去りにされたような気持ちになるものです。
しかし、人はそれぞれのタイミングで心が変わります。
たとえ姉妹でも、同じ方向を向いて歩き続けることは難しい。

大切なのは、「変わってしまった妹を、変わったまま受け止める」という姿勢なのかもしれません。
その優しさが、遠回りでもいつか、妹の心に届く日が来るのではないでしょうか。
放送はこちらから視聴できます
今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
人生に正解はありませんが、誰かの悩みを知ることで、自分の心が少し楽になったり、新しい考え方に気づけることもあります。
このブログが、読んでくださった方の「明日を生きるヒント」になれば嬉しいです。
またぜひ遊びに来てくださいね。
以上、悟(さとる)でした。


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